「体感温度」でより精緻に比較

 報告会では、断熱改修の効果測定指標として、従来の空気温度だけでなく、湿度なども加味してより体感に近い「SET*(標準新有効温度)」を用いることも提案した。SET*とは空気温度に相対湿度や放射温度、気流速度、着衣量、代謝量を加味して算出する温度指標だ(単位は℃)。

 調査では、断熱改修を実施した419世帯の住まい手774人について、様々な疾病や症状の発症オッズ比(発症しやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度)を、空気温度のみとSET*それぞれの場合で比較した。

居間の温度が比較的低いグループ(低位群)に対する疾病や病状が発症するオッズ比を改修前と改修後で調べた(数値は1より小さいほど罹患しにくい)。分析ベースには通常の空気温度とSET*の2種類を用いた(資料:日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第4回報告会」の資料を基に一部加筆)
居間の温度が比較的低いグループ(低位群)に対する疾病や病状が発症するオッズ比を改修前と改修後で調べた(数値は1より小さいほど罹患しにくい)。分析ベースには通常の空気温度とSET*の2種類を用いた(資料:日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第4回報告会」の資料を基に一部加筆)
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 「くしゃみ」は、空気温度ベースのオッズ比が断熱改修前の0.98から改修後は1.07に転じ、相対的に発症しやすくなっていることになる。だがSET*ベースでは0.88から0.87へと、改善が見て取れる。こうした研究成果がさらに積み重なれば、断熱改修による健康効果をより高精度に測る方法の確立につながる。

報告会の後半では調査に関わる医療分野の有識者によるパネルディスカッションを開催。この調査の意義や住宅が健康に与える影響の大きさ、建築分野と医療分野が連携することの重要性などについて意見が交わされた(写真:奥野 慶四郎)
報告会の後半では調査に関わる医療分野の有識者によるパネルディスカッションを開催。この調査の意義や住宅が健康に与える影響の大きさ、建築分野と医療分野が連携することの重要性などについて意見が交わされた(写真:奥野 慶四郎)
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(タイトル部のImage:jozefmicic -stock.adobe.com)