「通勤」「出社」は基本ではない

 オフィスの変貌に合わせて、働き方のルールも抜本的に見直した。毎日の通勤を前提とはしない。むしろオフィスにいないことが基本にした。営業部門であれば能動的な顧客訪問回数は引き続き重要経営指標として重視しており、それに合わせてオフィスに縛られるのではなく、むしろ客先への訪問を大切にするため社外にいることこそを基本にした。活動に応じて、自宅やコワーキングスペース、カフェなども積極的に使うことを推奨した。

 藤田氏は、「当たり前を変えていき、以前であれば、義務的にオフィスに来るような場面もあったかもしれないが、むしろ外にいることを正とした。朝と夕方に会社に寄るのではなく直行直帰。オフィスで指示を待つのではなく、自己判断で顧客を訪問。決裁の基準も変えるなど、働き方の変革を進めた」と説明する。

 関連する情報通信技術のインフラも整備していった。例えば、オフィスでは働く人の位置情報やオフィス利用履歴を取得できるようにして、活動も見えるようにして、働き方の改善に生かす。デスクトップパソコンと固定電話は原則禁止にする一方で、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットを配布し、情報通信技術の活用を進めるのは前提となる。

 加えて「WELL Building Standard」(WELL認証)という空間品質基準も導入した。働く人の心身の健康を保つことを目的とする。オフィスの空間に関わる音、光のほか、二酸化炭素濃度、PM2.5などの空気質基準を設けて、快適な空間を作ろうというものだ。これもABWに基づく活動の効果を高めることと並行して取り入れたものとなる。感染症予防にもつながる基準も含んでいる。換気量の増加、空気ろ過のほか、30mに1カ所の水サーバー、シンクの水栓長さ25cm以上、引き出し式のゴミ箱、ドアノブとスイッチの消毒、高頻度接触面の重点清掃だ。コロナ時代にこうした衛生面の対応は大切だろう。

ネットを介して遠隔地との対話コミュニケーションを図る個人用ブース
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