Beyond Healthは、「健康で幸福な人生100年時代を可能にする」社会を描くためのビジョンとして「空間×ヘルスケア 2030」を提案していく。このほど、それを実現するための新プロジェクト「ビジョナリー・フラッグ・プロジェクト(VFP)」をスタートさせた(関連記事:目指すは「空間×ヘルスケア」の社会実装)。

「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)をご存じだろうか。太陽光発電などの創エネによって、その建物で消費する正味のエネルギー量が差し引きゼロになる建物を指す。ただし、ZEBのメリットは単に省エネルギーだけではない。室内にいる人の健康増進を含めた幅広い効果が考えられる。高松市内に昨年完成したオフィス「エネフィス四国」もその幅広い効果を狙った一例といえる。今回は、同オフィスについて紹介する。

 ZEBは省エネルギーの度合いを示す指標だが、ZEB化のメリットはそれだけではない。建物の断熱性を高めることによって室内の温熱環境が穏やかになり、快適性が向上し、ひいては室内にいる人の健康増進にもつながる。2019年5月、高松市内に完成した「エネフィス四国」も幅広い効果を目指したZEBの一例といえる。

エネフィス四国の南西側外観。早稲田大学の田辺新一教授、工学院大学の野部達夫教授による監修を得て、NTTファシリティーズ(東京都港区)とダイダンが設計・施工を担当した(写真:ダイダン)

 総合設備会社ダイダン(大阪市)の営業所が入る自社ビルで、3階建て、延べ面積1180m2の小規模な鉄筋コンクリート造のオフィスだ。ダイダンは2016年4月にZEB Ready相当の実証オフィス「エネフィス九州」(福岡市)を完成させている。エネフィス四国は、同社が取り組む第2弾のZEBになる。

 計画に際して掲げたコンセプトは4つある。エネフィス九州の実績を踏まえた「ZEB化技術の深化」、被災時における支店機能の維持や事業継続性の確保を目指した「事業継続計画(BCP)対策」、あらゆるモノがネットにつながるIoT技術を導入した「快適性の向上」、イニシャルコストとランニングコストを低減させる「経済性の向上」だ。

 「ZEBは実際に運用してみないと、ここが使いにくい、こういう機能が欲しいといった課題が見えてこない。エネフィス四国では、エネフィス九州で良かった点を生かしつつ、汎用化を視野に入れたコスト削減、IoTによる自動制御システムなど九州ではできなかった取り組みを新たに導入した」。ダイダンの杉浦聡エンジニアリング本部ZEB推進部長は、そう振り返る。