データ共有で社会とつながる

 次に(2)のデータを活用して健康に導く働きかけをする、という要素だ。これについては例えば、個人ごとにカスタマイズした快適な睡眠への導入が挙げられる。取得した生体データや行動データを基に、一人ひとりが最も快適に眠れる寝室環境を作り出す。具体的には、温度や照明、音、香りなど、五感を刺激する要素を使った睡眠環境を提供する。

(イラストレーション:©kucci,2020)
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 台所や食堂では、データを使った食事管理が実現する。冷蔵庫にはモニターが内蔵されていて、家族の健康状態や保存している食材を加味した最適なレシピが表示される。これにより、適切な食事管理を促せる。データを参照して肥満気味になっていることが分かれば、「炭水化物を減らしましょう」といったアドバイスも表示される。

 体重や栄養状態といった生体データだけでなく、睡眠などの行動データも参照する。上質な睡眠がとれていないことが分かれば、それを改善するためのレシピを提示する。料理を机に並べると、含まれている栄養成分やカロリーが卓上に表示され、食事の内容を詳細に把握することもできる。

 データの活用は住宅の中だけにとどまらない。家の中で取得したデータは、地域の薬局や会社、学校と共有する。社会全体でビッグデータとして活用すれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような感染症が流行した際にも、感染経路を追うなどして社会システムの保全につながるかもしれない。

(イラストレーション:©kucci,2020)
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 これまでは電話線やインターネット回線を引くことで、家と社会をつないでいた。しかし今後は、データを共有することが社会とのつながりになるだろう。