「薬局はこうあるべきだ」との考えを構築し具現化

薬局がフィットネスやIT連携の中心的な役割を果たしているのは興味深いことです。薬局の役割をより広げていくような考え方を全社で進めているのですか。

 私が中心となって全社を挙げて「薬局はこうあるべきだ」との考えを構築し、最前線の薬局においてどんどん表現する体制をつくっています。自らフィットネスジムを設けたり、薬店を展開したり、アプリを自社開発したりするのは、全社の問題意識から生み出されているのです。がん専門の特定機能病院である大阪国際がんセンターでは、敷地内薬局の建物にスポーツジムを誘致し、メディカルフィットネスに近い形を実現しました。ウェルベース矢巾とは異なり、がんになった人たちの利用が想定されますが、病院が望むような形で運動に取り組める設備を整えたのです。

 岡山県の倉敷中央病院の中では、調剤薬局ではなく「NICHO+ くらしき」という薬店を出しました。市販薬を売るだけならばどこでもできるかもしれませんが、病院が薬事審議会を通して採用品の決定に関与しているのは特徴的です。薬局業界では、申し上げたように、健康サポート薬局という取り組みの中で処方箋を出す前、あるいは後の健康管理にまで気を配ろうとしています。そうした中で、倉敷中央病院では、病院としても人々の普段からの健康管理を視野に入れた取り組みを始めようとしているのです。

(写真:川島 彩水、以下同)
(写真:川島 彩水、以下同)
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 調剤薬局の店舗の中で、簡易血液検査や健康測定機器を使った健康度チェック、栄養指導などを行う「健康チェックステーション」を広げているのも一つです。関東中心に100カ所ほど導入し、薬剤師や管理栄養士による健康管理の相談を受ける窓口を設けたり、タニタさんの体組成計を置いたりして、利用される方々の健康意識を高める取り組みを進めようとしています。

 電子お薬手帳アプリの「お薬手帳プラス」も既存事業の中で横断的に協力して自社開発しました。「クラウド」という言葉が一般的ではない20年以上前から、データをクラウドに蓄積する情報インフラを整え、基幹システムを自前で開発してきました。こうした自前開発をしている調剤薬局はほかにはないのではないかと思います。こうした体制を作ってきたからこそ、電子お薬手帳の自社開発も実現しました。アプリは開始当初の6年前には高齢者には使えないのではという心配の意見もありましたが、今や70歳の高齢者も普通にLINEを使う時代になり、高い患者満足度もデータで示されるようになっています。医療従事者にとっては患者さんから「これは便利。ありがとう」と言われることは、一般の人が思う以上に元気につながることなのです。