10年後の薬局像は?

10年後の薬局をどうイメージしますか。

 人と情報技術を掛け合わせる発想がさらに進展していくと考えています。オンライン診療やオンライン服薬指導が、新型コロナウイルス感染症の影響で緊急措置として導入が広がりを見せています。それはそれで情報技術への対応はしていきますが、そうした薬局のIT連携を進めつつ、その上で人の対応力を高めていくことが重要だと考えているのです。

 薬局の「かかりつけ機能」強化で、薬局では対物業務から対人業務への転換が求められることも重要です。これから薬剤師も変わらなければならないと考えています。薬剤は高度化して、外来での治療が増えてきますから、それはまさに調剤薬局の薬剤師の出番となってくるのです。薬剤師の専門性を高めることは欠かせません。

 在宅医療の中でも薬剤師の役割はあります。そこでは民生委員など町ぐるみで手分けをしてやる必要があります。薬剤師は医療従事者であり、専門職でもありますから、求められる役割も大きくなります。薬剤師のリーダーシップが必要になりますが、地方の店舗ではその意味ではよい経験を積むことができています。医師との物理的な距離も近く、コミュニケーションも密に取れます。慢性ケアについても学ぶ機会は多いのです。現場から昇進した薬剤部の幹部はほぼ全員が地方を経験済み。同じ医療の話をするのでも経験に由来する深みが出てきます。

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 慢性期ケアでは、生活習慣病においてはイノベーティブな薬剤が出てくることはありません。薬機法等の改正により薬局は「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」へ細分化されますが、地域連携薬局の薬剤師には、既存薬をきちんと飲むことの指導が重要になります。アドヒアランスを5割から10割に高めるといった点を含め、患者の臨床や生活に思いの及ぶ薬剤師が求められます。 調剤の正確性を競うのではありません。

 半面で革新的な薬剤は、がんや希少疾患の薬が中心になってきます。そうした薬はハンドリングが難しく、豊富な知識が必要です。専門医療機関連携薬局の薬剤師は、知識を持ったエース級が就くことになります。がんにおいては、薬剤師が主体的に関わる必要があると考えています。がんになっても人によっては寛解して再発リスクを抱えながらも元気に働いている人もいます。その中で、薬の副作用や経口薬の管理などに対応していかなければなりません。当社には「5つ星薬剤師」といった人事制度もあります。

 コロナのために患者や疾患による行動変容があからさまに現れています。これは一時的かもしれませんが、この感染症が終息した後に元通り100%に戻るか、はっきりとしたことはまだ言えません。今後、患者さんの意識や行動を変容するきっかけになるかもしれません。オンライン診療をオンライン服薬指導も緊急措置とされますが、コロナが収束していく中で元に戻すことが通じるかは分かりません。インフルエンザの流行時期はコロナとどう違うのかという話になるでしょう。それは会社への通勤自粛やテレワークの考え方も同様です。継続してやらざるを得ない方向になるかもしれません。そこに対応していくツールとしてITは重要だと考えています。

(タイトル部のImage:jozefmicic -stock.adobe.com)

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ほか

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