Beyond Healthは、「健康で幸福な人生100年時代を可能にする」社会の実現に向けたビジョン「空間×ヘルスケア 2030」を提案し、それを具現化するための新プロジェクト「ビジョナリー・フラッグ・プロジェクト(VFP)」を立ち上げた(関連記事:目指すは「空間×ヘルスケア」の社会実装)

このビジョンのカギを握るのが、医療機関とも連携し、かかりつけの健康アドバイザー(ヘルスケア・マイスター)として人々の健康を支える薬局・薬剤師。日本調剤の三津原庸介社長へのインタビューでは、調剤から慢性期ケアへと幅を広げる薬局の役割の変化について聞いた。今回取り上げるのは、岩手医科大学付属病院の敷地に開設された調剤薬局とフィットネスジムが同居する「ウェルベース矢巾」で、薬局とジム、医大が一体となって地域住民の健康増進を図ろうという岩手県矢巾(やはば)町の取り組みだ。ウェルネスを中心にしたコンパクトシティーを掲げ、メイヨークリニックという世界有数の病院を中心に発展した米ロチェスター市のようなまちづくりを目指す。矢巾町企画財政課未来戦略室課長兼室長の吉岡律司氏をはじめ関係者に話を聞いた。

岩手医科大学付属病院の敷地内に開設された「ウェルベース矢巾」 (写真:井上 健、以下同)

 矢巾町は、北上盆地に広がる広大な平地、岩手県盛岡市の南に位置する。その町の中心部に2019年に移転したのが岩手医科大学付属病院だ。のどかな町並みの中に、地上11階建ての威風堂々とした建物は存在感が大きい。

 同町はコンパクトシティーを掲げ、町の方針の第一に「ウェルネス」を打ち出してきた。町の人口は2万7264人(2018年)。盛岡市のベッドタウンで、世帯数はここ40年近く一貫して増えているが、世帯構成人員は現在2.6人。人口はここ10年くらいで頭打ちとなり、減少傾向にある。一方、2010年に19.7%だった65歳以上の人口が、2015年には23.6%と急速に増加している。そんな中、昨年の岩手医科大学付属病院の移転は、少子高齢化を受け医療や健康を意識して矢巾町が進めてきたまちづくりのフックとなった。