アライアンスやオープンイノベーションは積極展開

住宅業界として、急性疾患への対応に何かできるはずだと考えたわけですね。

 脳卒中と心筋梗塞は早く病院に連れて行ければ治療できるケースも多い。ただし急を要する、時間との勝負なんです。tPAという薬を使って血栓を溶かし血流を再開させる治療は、発症後4時間半以内に開始しなければならない。

 それでも4時間半で命が救えるのならばやるべきだと思うんです。住宅内に設置したセンサーでいち早く検知する。発想は非常に単純ですよ。

(写真:剣持 悠大)

 センサーを検討する際、我々が重視したのが「非接触」という点です。脳卒中や心筋梗塞は突然起きるもので、普段は健常者なんです。健常者が毎晩センサーを身に着けて寝るなんてことはしないでしょう。だから住宅メーカーとして、非接触で見守る点にはこだわりました。

センシング技術を含め、異業種との連携や研究機関との協力はどのように進めているのでしょうか。

 積水ハウスが住宅一筋で60周年を迎えるに当たり、今後も住宅中心ではありながらも、いろいろなところとアライアンスを組んだりオープンイノベーションを進めたりすることは積極的に展開したい考えです。

 今回のケースでは、急性疾患対応というテーマに対して一番良いセンサーはなんだろうと、必死に探しました。まずはコニカミノルタさんとNECさんと組んでドップラー型のセンサーで進めています。非接触で最も高精度だと認識しています。

 センサーデータから状況を判断するアルゴリズムに関しては、慶応義塾大学(理工学部 教授 大槻知明氏)にも協力を得ています。将来に向けてもっともっと精度を高めていくためにはどうしたらいいかという点も大きな課題です。

積水ハウスが掲げる「プラットフォームハウス構想」。その第1弾として「CES」(2020年1月に米国で開催)の場でHED-Netについて発表する仲井社長(出所:積水ハウス)

 こうした開発に向け異業種や研究機関との協力関係を築く上では、「CES」で発表したことがきっかけとして良かったなと感じています編集部注)。コラボレーションについて声を掛けたのはこちらからというケースが多いのですが、日本だけを対象とした場でなくCESで、米国で発表したという実績の効果は大きかったのではないかと考えています。

編集部注)CESは例年1月に米国ラスベガスで開催される巨大なコンシューマーエレクトロニクス関連の見本市。2019年、積水ハウス日本住宅メーカーとして初めて単独で出展し、家電の音声操作で盛り上がる「スマートハウス」コーナーに“脳卒中を見つける家”を展示した。2020年のCESではHED-Netを発表した。