住宅と医療は今まで本当に離れ過ぎていた

普段の生活の中で突然起きる脳卒中や心筋梗塞、つまり健常者に向けて「早期検知が可能な家です」という価値だけではなかなか響かないのでは、という見方もできます。

 そうした状況は認識しています。このセンサーの開発に成功してアルゴリズムの精度を上げて「脳卒中が早期発見できますよ」と言っても、顧客の多くは自分がその(脳卒中などによって自宅で亡くなる)7万人の中に入るとは思わないでしょう。

 ですから、先ほど挙げた100年幸せに生きていくため3つの要素、つまり「健康」「つながり」「学び」をトータルで提案しなければならないと考えています。今は、その1つである健康、さらにはその中の1つである急性疾患だけの話をしていますから、それだけではニーズのパイとしてはそれほど大きくはないかもしれません。

 ただ、ちょっとしたことが関心を持つきっかけになることもあります。若い人でも、親御さんなどが急性疾患で亡くなった経験を持つ方は興味を持つかもしれませんし、60歳を越えて1人になったときなども必要性を感じるかもしれません。今でも冗談混じりに「早く作れ」と言われているのが単身赴任者向け。ベロベロに酔っ払って翌朝、同僚に電話で起こされたみたいな経験がある人なら、1人暮らしで一瞬死ぬかと思った、という気持ちも理解できますよね。

「健康」を因数分解すると、テーマとしては「急性疾患対応」のほかに「慢性疾患の経時変化」「予防」があるとの話でした。

 今は健康ブームですよね。テレビを見ていても「○○の医学」とか「健康」とつく番組が多い。けれど「ブーム」じゃないですか。そこにはエビデンスがあまりない。

 ブームではなく、本当に健康になるためにはどうするべきかという学問であったりエビデンスであったりが必要だと思いますし、実現するためのシステムを日本の社会がどう確立していくのかといった課題もある。当社の得意分野ではありませんが、予防について「家」で取り組むにはそこを勉強せざるを得ないと思っています。

 私の夢は、「医住連携」なんです。現状では、この2つがばっさりと切れてしまっている。今回の急性疾患対応で、とりあえず「4時間半以内に家から病院に届ける」という連携の世界は一つ見えました。

 では、慢性疾患や予防については、どう医住連携していくのか。最近話題になっているオンライン診療なども含む話ですよね。そこは住宅と医療がもっとくっつかなければならない。今までは本当に離れ過ぎていた気がするんです。