組織としての仕事の成果をどう上げていくか

 課題の1つは、必ずしも全員が自律的な働き方を求めてはいないという事実だ。リモートワーク・在宅勤務が選択肢の1つとして定着する中、森田氏は「自律的な働き方の実現こそが幸せと思っていたが、そうでもない。そうした働き方を望んでいない人も一定の割合いることを実感するようになった」と明かす。自分で物事を決めたり、やり方を決めるといったことにプレッシャーを感じる人達もいるのだ。

 そうした姿勢にも配慮する必要がある。「働き方や暮らし方、そして幸福感は人それぞれ違う。自律性を追求しない考え方も多様性の1つとして認められるべき。その前提の下、組織としてどう対応するか、管理職としてどう対応するかが問われる」と森田氏。どのような職種に柔軟性を求めるか、次の段階として判断が迫られるという。

 もう1つの課題は、組織としての仕事の成果をどう上げていくかという点である。池田氏は「自律的な働き方によって個人の仕事の成果は上がる。しかし、組織のメンバーとコミュニケーションを取りながら進めていく仕事は、時間と場所を他のメンバーと合わせる必要があり、個人の判断だけではうまく回らない。例えば、どの程度の時間をともに過ごすことが成果の引き上げにつながるのか、見極める必要がある」と指摘する。

 ここにきて分かってきたこととは、見方を変えれば、「リモートワーク・在宅勤務」での、また「オフィスでのコミュニケーションの在り方」の課題とも言い換えられる。リモートワーク・在宅勤務でのコミュニケーションを考える上でヒントになるのは、Web会議の使い方だ。この1年半近く、多くの人がWeb会議を介したコミュニケーションの経験を積み、参加の仕方にも慣れてきた。使い始め当初はコロナ禍での次善の手段という嫌いが強かったが、最近ではそのメリットが積極的に評価されるようにもなった。

 例えば池田氏が自社でのやり方を基に評価するのは、資料の共有が進んだという点だ。「Web会議では開催前に資料が共有されることが多いため、事前に目を通しておくことができるようになった。また発言時には自身の資料を共有しながら意見を述べるようにもなった。対面の会議に比べ、共有される情報量が増え、理解度も深まった」。

 ただ、それをもっと使いこなすための作法や話法があるのではないか、という。「例えば電話には、『もしもし』という作法・話法がある。そうした作法・話法が、オンラインでのコミュニケーションについてはまだ確立していない」(池田氏)。

「働く場の使い分けには、どの程度の時間をともに過ごすことが成果の引き上げにつながるのか、見極める必要がある」と池田氏
「働く場の使い分けには、どの程度の時間をともに過ごすことが成果の引き上げにつながるのか、見極める必要がある」と池田氏
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