遊びのように見せかけて防災に関する技術や知識が学べる公園

 海南市が街づくりの一環として進めたノビノスは無事完成し、にぎわいの創出も成功させた。だが、同市の挑戦はそれだけにとどまらない。市の魅力を高めるとともに、南海トラフ巨大地震などの発生に伴う大規模災害への対応能力を高めるため、今度は新しい公園を作るのだ。敷地面積は約16.2ヘクタールと膨大で、平常時にはにぎわいを生みつつ、災害時には避難や救護活動、応急仮設住宅用地として利用するほか、災害時を想定したキャンプ体験などもできる場として整備する方針。完成は2025年4月を予定する。

 仮称は「海南市中央防災公園」。実際にその具体的なイメージづくり任されたのはまたしても宇尾氏だった。「これまた難しい仕事で、少しは休ませてほしいと思いましたよ」。セリフとは裏腹にどこか楽し気な口ぶりだ。

 宇尾氏がその任務を受けたのは今年4月。以来、持ち前の実行力で、さまざまな調査・分析などを行ってコンセプトをまとめあげた。

 「子どもの感性を育み、好奇心を刺激する、居心地の良い空間を目指したノビノスは、市外からも多くの子どもたちがやってくる、いわば『知と学びの拠点』。そこから発想して、新しい防災公園は、自然に囲まれ子どもたちの歓声が聞こえる、そして、いざというときにみんなを守る、海南市民にとっての『遊びと安心の拠点』と位置付ける」──。そんな絵姿を描いた。

 「この二つの拠点があるからこそ、海南市に住みたい、住み続けたい、そう思ってもらえることを目指した」とも語る宇尾氏。それは、人口が5万人でこの先も人口減・少子高齢化が進むとされる海南市の未来を切り拓くための挑戦とも言い換えられる。

 今年7月、公園整備とその後の管理運営を担う事業者を公募するにあたり、宇尾氏は具体的なイメージがつかみやすいよう、この新たな防災公園のコンセプトシートをまとめた。

2025年に誕生予定の海南市中央防災公園(仮称)の鳥観図(コンセプトシートより)
2025年に誕生予定の海南市中央防災公園(仮称)の鳥観図(コンセプトシートより)
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 中央防災公園のキーワードは、たくさんの「体験」が得られる場所であること。自然・防災・テクノロジー・科学・エネルギーなどに関する多様なコンテンツがそろい、子どもはもとより大人も遊びながら体験を通じて自然と必要な知識や技術が身につくことを目指している。

 膨大な敷地にはテントやコテージ、ツリーハウスなど多様な宿泊施設を設け、バーベキューができる場所なども用意する予定。ただ、そこまでなら、巷間のアウトドアブームに単に乗っかっただけに過ぎない。バーベキューをするなら、食材の配送にはドローンを使う、火おこしや薪割りは自力で、何なら水のろ過作業も行う。そのための技術を教えてくれる場所もセットで整備する。

 そうした体験学習施設は多岐にわたり、複数のコンテナを設け、それぞれ太陽光発電、センシング技術、水力発電、プログラミング、DIY技術など、最新テクノロジーや災害時に予測される不自由を補う技術を学べるようにする。また、3Dプリンタで仮設住宅を作るといった体験も可能にする。

新しい防災公園で遊び・学べる事柄の例(コンセプトシートより)
新しい防災公園で遊び・学べる事柄の例(コンセプトシートより)
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 宿泊施設は、災害時にはそのまま仮設住宅や、新たに立ち並ぶ仮設住宅の核となる施設にすることも想定。そのため、当初から電力供給に頼らないオフグリッド施設として、自家発電などができるようにしておく。

 これらの取り組みは今、世界がめざす「サステナブルな社会」の実現とも整合する。

 デジタル・先端技術を遊びに使う。また想像力を養って防災を学ぶ。これを公園を舞台に行うというのだから面白い。それが実際魅力あふれる街づくりにつながるのか。完成予定の4年後を見届けたい。

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(タイトル部のImage:jozefmicic -stock.adobe.com)

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