従業員のデータを取得し活用する

 まず特徴的なのは、従業員の健康を管理するための「スクリーニング&ヘルスケアサポート」という役割をオフィス内に設置している点だ。ここでは、従業員のバイタルデータや行動データに加え、環境データなどをセンシングする。もちろん、データの取得に当たってはプライバシーの問題を考慮しなければならない。

(イラストレーション:©kucci,2020)
(イラストレーション:©kucci,2020)
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 導入技術の一例として、排泄物のセンシングを行う「スマートトイレ」をイラストに盛り込んだ。呼気で健康状態をスクリーニングしたり、ノートパソコンに内蔵されたカメラで心拍や呼吸の測定をしたりする技術の導入も考えられる。こうした新たな技術は、自宅や個人では導入できなくても、オフィスであれば導入しやすい可能性がある。

 一週間のうちの多くの時間を、私たちは仕事に使っている。だからこそ、就業時間中のヘルスケアデータを取得する価値は大いにある。ここで取得したデータは、例えば「Beyond Pharmacy(未来の薬局)」と共有し、そのデータを基に未来の薬剤師として位置付けた「ヘルスケア・マイスター」が介入すれば、健康な街づくりに生かすことも可能だ。

 オフィス内では、スクリーニングしたデータを「パーソナライズド人間拡張スペース」で活用する。ここは、データを基に、個人が最も集中したり創造性を最大化したりできるように最適化する空間である。技術を活用することで、人間が本来持っている能力が拡張されるイメージだ。例えば、脳波に良い音楽や集中できる空調、疲れない香りなどを最適化する。

(イラストレーション:©kucci,2020)
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 従業員の健康データがオフィス空間で取得できるようになれば、保健指導にも役立ちそうだ。健康保険組合は、従来よりも細やかなデータに基づいた健康指導ができる可能性があるだろう。