大小様々な企業と連携した理由とは?

 このビジョンに、産官学のプレイヤーが多数賛同した(図2)。とりわけ企業では楽天や日本調剤といった大手をはじめ、盛岡市を拠点とする医療機器ベンチャーのセルスペクトが血液検査サービス、岩手県八幡平市のAPTECHがウエアラブル端末のソリューションで参画するなど地元密着の体制を組んだ。ここには、ヘルステックを地域のビジネスとして成立させ、サステナブルな循環を継続したいとの吉岡氏の強い思いがある。

 「スーパーシティ構想自体が補助金ありきではなく、企業の技術力を地域の課題解決に役立てることがコンセプト。きちんとしたサービスとして住民に提供し、住民も対価を支払うことで自分ごとと捉えるスキームにする。だからこそ企業には“本当に使いたくなるサービス”を開発してほしいとお願いしている」

図2●矢巾町スーパーシティ構想の推進体制(資料提供:矢巾町)
図2●矢巾町スーパーシティ構想の推進体制(資料提供:矢巾町)
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 一方、データを見せただけで人は変わらないことも十分に承知している。そこで、行動変容を促すスパイスとしてナッジ理論を採用する。ナッジとは「そっと後押しする」ことに由来する行動科学の一概念であり、人がより良い選択をするような仕掛けを指す。例えばアプリを介した運動メニューの配信などを想定する。

 その上で、岩手医科大学附属病院に併設した「メディカルフィットネス ウェルベース矢巾」にフィジカルの拠点を置く。矢巾町、岩手医科大学、日本調剤、タニタヘルスリンクらが参画し、2020年4月にグランドオープンした産学官協働のフィットネスジムである。

 「フィジカル部分では、ウェルベース矢巾に対する期待は大きい。運動だけではなく、健康運動指導士、あるいは管理栄養士や薬剤師などが運動指導や栄養指導をすることで、実空間の拠点として利用してもらう」