健築が目指す5つの特徴

 2016年10月には、千葉大学予防医学センターに「竹中工務店健康空間・まちづくり寄附研究部門」を設置し、行動変容・健康増進にかかる研究・教育を開始。ここからが健康×建築の掛け合わせによる「健築」のプロジェクトだ。1年間ディスカッションを進めて、コンセプトブックをまとめている。

 ここでは健築の特徴を5点でまとめている。「過ごすだけで健康」「いつも身近に自然を」「はたらくを変える」「テクノロジー+生活+空間」「健康なまちづくり」──。石川氏は、「建築会社として、空間デザインや物づくりは創業以来およそ400年にわたって変わっていない。ただ、健康にアプローチする上では空間デザインや物づくりだけでは足りないと考えた。加えるのは、空間を上手に使うためのサービスと組み合わせること。どんなにいい空間でも、人間に働きかけて、ソフトウエアに使っていただくのが重要」と説明する。建築や街づくりを0次予防の発想から変えていき、知らず知らずのうちに健康に導いていく仕組みづくりがここを出発点として始まった。

 健築の取り組みは、「空間デザイン」「プログラム」「分析・評価」という3つのアクションから進めていくものとしている。空間デザインは科学的な根拠に基づいて作り上げていく。WELL認証のような仕組みも取り入れる。ただし、建築物が完成した時点での機能だけではなく、それをいかに使っていくのかというプログラムも重視しているのが特徴だ。実際に使っていく中で、医学や疫学分野の手法を使いながら分析・評価を行い、新たなエビデンスを作っていくところも重視した。

 石川氏は、「データを取り評価しながら、普及し、見直していく、長い時間軸の中で利用者と一緒になって変えていく。これまでの建築会社の発想では、建築物を引き渡した後に関わることは少なかったが、分析・評価を続けて関係が続く。建築会社からすると新しい」と言う。

 千葉大学予防医学センターとは調査研究も進め、冒頭のイオンモール宮崎で作り上げた仕掛けもこの研究から生まれた。