建築物の使い方を変えるプログラム

 2020年3月からは、石川氏は同社の技術研究所未来空間部健康空間グループに移り、健康の発想を事業へと取り入れる戦略を本格的に推し進める。「当社は、最良作品を世に残して、社会に貢献しようとしている。最良の作品は時代によって変わる。現在は健康寿命の延伸が課題になり、成熟社会の中で人々が幸せに生活するために健康が大切になっている」

<b>写真4●「ta-tta-tta」実証試験の様子</b>
写真4●「ta-tta-tta」実証試験の様子
[画像のクリックで別ページへ]

 医療福祉・教育本部の小林氏は、健築の発想から実証試験を行った。博報堂との共同研究として開発した「ta-tta-tta(タッタッタ)」。従業員が身につけるIoTセンサーとオフィスを組み合わせ、オフィスを利用することでメダルを獲得できるというものだ。具体的には、オフィスの屋内階段を上り下りすることでメダルを得られ、階段を使う頻度を増やせるというものだ。実証実験の結果として、階段を上る量が1.7倍になると分かった。

 「建築自体をメディアにすることが可能になる。空間に情報のコンテンツを流すことで行動を促す仕組みができる。ゲーミフィケーションの考え方を取り入れて、人に動いてもらい、身体的な健康だけではなく精神的な健康にもつなげ、ポジティブな気分を作る出すことを可能とする」と小林氏は解説する。

 タッタッタでは、階段を上った高さを記録し、その高さに応じて、東京タワーを表示させたり、高尾山の動画を出したりして、上った気分を作り出す。スマホにも履歴から高さが分かるようにして、自分の励みにしたり、他人と競争したりすることを可能とする。ランキングにしたり、チーム制にしたりと、運動だけではなく、コミュニケーションを増やすことも狙っている。