大手ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局は、2015年から自社の店舗に「ウエルカフェ」と名付けたフリースペースの設置を進めている。地域包括ケアシステムの中で生活支援や介護予防を担うべく、高齢者の「通いの場」を設けて地元自治体や社会福祉法人など非営利団体に無償で提供、公民の協働により健康増進、福祉、文化などの活動を実施してもらうのが狙いだ。SDGsの取り組みにもつながるこのウエルカフェ、自治体からの期待も高まってきている。

 2015年4月に、埼玉県坂戸市の店舗に第1号の「ウエルカフェ」を設けてから6年余り。2021年7月末でウエルカフェのあるドラッグストアは、全国354店にまで増えた。

 「地域包括ケアシステムの下で、健康関連の情報を積極的に発信していこうという池野隆光ウエルシアホールディングス代表取締役会長の指示で検討を始め、薬局への『通いの場』の設置に行き着いた。場所や人的リソースをどう活用して、行政をはじめ地域の様々な主体とうまく協働していくか、試行錯誤を重ねている」──。ウエルシア薬局地域包括推進部の宮﨑進一氏は、ウエルカフェをスタートした経緯をこう話す。

来店客の目につきやすいように、入り口近くにウエルカフェを設けている(写真:ウエルシア薬局)
来店客の目につきやすいように、入り口近くにウエルカフェを設けている(写真:ウエルシア薬局)
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 ウエルカフェの広さは概ね20~30m2。テーブルを置いて十数席を設け、モニターやコルクボード、パンフレットスタンドなど情報提供のための設備もある。同社の店舗のほとんどは賃借物件だが、店に入ってすぐのいい場所にウエルカフェのスペースを確保するようにしている。これは池野会長の強い意志の表れだという。

 ドラッグストア業界の売上トップ企業であるウエルシアホールディングスのこの取り組みに対して、追随する目立った他社の動きは今のところ見られない。店舗に入ってすぐの“一等地”を売り場以外に使うという選択は一般的には考えにくい。経営トップの判断があってこその戦略ということなのだろう。