自由に動ける空間を作れば、子どもの活動量は増える

実際にどのような環境であれば、子どもたちは活発に動くことができるのでしょうか。

 研究では保育園に協力いただき、1~2歳児のクラスで子どもたちの活動量を実証調査しました。保育業務に差し支えない程度でいくつか変化をつけて調査したところ、おもちゃのレイアウトを変更し、子どもたちが自由に動ける空間を広く作ると子どもの活動量が増えることが確認されました。

 部屋の中央にブロックを置くと、どうしてもブロックの周りに多くの子が集まり、その周りでちょこちょこ遊ぶ感じでしたが、ブロックを壁際に置いてみると、その周りで遊ぶ子もいれば、空いた空間に行って自由に遊ぶ子もいるという状態に変化したのです。園児ごとに移動距離を測った数値にも、有意な差が認められました。

 自宅ではなかなか子どもが自由に遊べる空間を確保するのは難しいと思いますが、例えばお子さんが小さいうちはリビングにソファセットを置かないというのも一つの手だと思います。当社ではリビングに隣接した6畳ほどの畳敷きのマルチスペースや天井の低い収納空間を提案しており、そういった空間を活用することも考えられます。

 以前、「壁にお子さんのための小さな出入り口をくり抜いてほしい」というお客さまがいらっしゃいました。そういう仕掛けがいくつかあれば、自宅でも自然とくぐる動きができ、楽しく身体を動かすことにつながるかもしれません。

フューチャーデザインセンター市場企画室長の大竹正裕氏からは、健康的な生活のための住まいとして、例えばVR(仮想現実)技術を使ったり、壁面に映像を映し出したりしながら好きな場所を歩いている気分になれる階段や、センシング技術で空気環境や温度などを調節し、そこで寝る人の睡眠の質を高めるような寝室も、アイデアとしては挙がっていると聞きました。昔ながらの縁側のように、独居の高齢者が社会性を保ちやすい間取りや構造も今後の課題として挙げられています。将来にわたる健康的な生活を支える場として、住まいはまだまだ変化していくのでしょうか。

 テクノロジーと掛け合わせ、家の中でもさまざまなことができるということを、コロナ禍によって一般の方もリアルに感じられるようになったと思います。今まで家でやると考えていなかったことがどんどん家の中に入り、逆に家の中でやってきたことが街やさまざまな場所で体験できるようになっています。そういった体験の機会を、どのような環境にあっても子どもたちが平等に享受できるようにすることも、今後は考えていかなければならないと思っています。

(タイトル部のImage:jozefmicic -stock.adobe.com)

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[登壇者]
経済産業大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官 兼 復興大臣政務官
参議院議員
佐藤 啓 氏
奈良県立医科大学
MBT(医学を基礎とするまちづくり)研究所 副所長(研究教授)
梅田 智広 氏
ほか

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