日本のオフィスのボトムアップを狙ったCASBEE-WO

CASBEE-ウェルネスオフィスとWELLの違いは?

 最も大きな違いは、CASBEE-WOは現状では国内のオフィスビルだけを対象とするのに対し、WELLは全世界のあらゆる建物を対象としている点です。また、WELLは建築物の一部のみを評価・認証することもできます。

 CASBEEは建築物の性能評価ツールですので、評価・認証するのはあくまで建築物の性能ですが、CASBEE-WOにおいては管理・運営やサービスも評価する対象に含んでいます。対してWELLは、例えば「労働者が日常的に野菜を摂取できる環境を整える」といった、ビル管理・運営のサービスを超えて、入居組織の取り組みへの高い要求も評価基準に含まれます。WELLは医療関係者が主体となり、医学的エビデンスを基に設計された制度のため、建築物の性能だけでは解決できない企業活動についても評価されるわけです。

 WELLの高度な要求は、評価方法や費用などにも影響しています。認証そのものにかかる費用だけでも、例えばCASBEE-WOが50万円程度の場合、WELLでは100万円を超える予算が必要だと言われています。

 また、基本的には図面と書類のみで評価・認証するCASBEE-WOに対し、WELLは図面や書類の審査に加え、現地調査が必須となります。評価項目が幅広く多大な上、場合によっては海外から評価員を迎えなくてはならないので、認証取得のための資料作成や現地対応などに相当額の予算が必要とされる傾向があるようです。

 さらに、認証にかかる期間も、CASBEE-WOは申請から1~2カ月であるところ、WELLでは設計段階から登録して、実際に認証を受けるのは建物の完成から早くて3~4カ月後と言われています。

CASBEE-WOとWELL、それぞれの認知度や評判は?

 国内の認証数は、2021年7月までにCASBEE-WOが41件。WELLは19件となっています。どちらも比較的新しい制度ですので、認証数で見るとまだまだ一般的ではありません。

 人気や評判については、双方の性質が異なるので簡単な比較ができません。日本国内において、CASBEE-WOは主にボトムアップを担い、WELL はトップアップを目指すものだからです。例えば、CASBEE-WOの場合は、どんな建築物でも認証を受けることができます。特別にウェルネスに配慮された建築物でなくとも、評価と認証を得られるわけです。当然、低い評価となる可能性がありますが、ビルのオーナーや管理者が建物のウェルネス評価を把握し理解するきっかけになることが期待できます。低い評価を受けた場合は、改善し評価を向上させようとする意欲にも結びつきます。このようにCASBEE-WOは、国内のオフィス環境全体をウェルネスの見地からボトムアップすることを目的のひとつとして、設計・運用されています。

 一方、WELLの場合は評価水準が非常に高く、先に述べたように建物本体と関係のない、運用上のサービスの面における要求もあります。また、WELLには必須項目というものがあり、その項目がクリアできないと最低限の認証すら取得できません。だからこそブランドとしての価値が高く、主に広報的な意味合いで人気があります。最新のウェルネスに対応した建物として、対外的にアピールする際には効果的な認証制度であると言えます。そのため、WELLの認証を取得するような意欲的なビルのオーナーや管理者、企業の場合、WELLと一緒にCASBEE-WOも認証・登録されている例がほとんどです。

現在の国内における健康認証制度の代表格が、日本の「CASBEE-ウェルネスオフィス」と米国の「WELL」。取材した内容を基に。2つの制度の違いをまとめた(資料:村田 皓)
現在の国内における健康認証制度の代表格が、日本の「CASBEE-ウェルネスオフィス」と米国の「WELL」。取材した内容を基に。2つの制度の違いをまとめた(資料:村田 皓)
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