いずれは日本からトップベンチャーを

 グローバルを対象とするだけに欧州、米国、アジアなど世界各地とのネットワークは幅広い。選択の初期段階では1000社ほどの情報を収集し、その中から200社ほどをピックアップ。さらに精査を重ねて実際の面接に至るのは多くて5社ほどという狭き門だ。その基準とは一体、どのようなものなのだろうか。

 「アーリーステージのため、数字よりもチームと人を中心に見ている。我々のターゲットは技術者や科学者がCEOを兼ねるケースがほとんどだが、突き抜けるためには事業や経営とのバランスを上手く取る必要がある。そこを意識して、成長に応じた体制づくりをしているベンチャーは投資先の候補となる」(井上氏)

世界に広がる投資先一覧(出典:オムロンベンチャーズ)
世界に広がる投資先一覧(出典:オムロンベンチャーズ)
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 市場の大きさからも、地域としては引き続きインドを注視したいとする。また、最近本格検討したベンチャーの約半数は日本であり、世界レベルでトップを取るベンチャーを支援したい気持ちは強いという。医療機器の知見が豊富な井上氏はPMDA(医薬品医療機器総合機構)の動向にも詳しく、「コグスマートのような認知症関連ソリューションはPMDAが着目する課題と同じ方向を向いている。この領域は日本が最先端になる可能性が十分にある」(井上氏)と語る。

 派手さはないが、“世の中になくてはならないもの”を支えるオムロンの思考に外部からの新しい風が加わり、オムロンベンチャーズはユニークなCVCとしての存在感を高めつつある。次なる社会課題解決のビジネスが共創から生まれることを期待したい。

(タイトル部のImage:出所はオムロン)