BICは「カンパニー・インキュベーター」

 大手企業が新規事業を進める上で悩ましいのが、事業規模だ。既存の事業が大きければ大きいほど、新規事業は相対的に小さく見えてしまう。「そんな小さな事業に注力するより、既存事業の強化に充てた方がいい」という話になりがちだ。

 先に挙げたKunkun bodyについて言えば、2年前に実施したクラウドファンディングでは、もともと「100台くらい売れればいい」としていたところ約1800台を出荷したものの、単価が2~3万円の商品なので売り上げとしては5000万円にも満たない。コニカミノルタの売り上げにすれば相対的には小さな数字だ。

東京・品川にあるBIC Japanのオフィス風景

 こうした課題に対して、コニカミノルタではBICを「カンパニー・インキュベーター」、つまり会社を生み出す組織と位置付けているという。課題を発見し、着想、その解決に必要な技術をスカウト、試作品を作り、PoC(概念実証)からのフィードバック、初期のマーケティング、セールスを行って3年をメドに、大量販売を目指す次のフェーズに移行する活動と定義しているのだ。

 ここで言う次フェーズとしては「他企業に売却する」「社内の事業部に移して育てる」「子会社を設立する」の3つの方法を考えている。既に、それぞれのフェーズに移行する事業も出始めている。

 大量販売前の活動ではあるものの、各プロジェクトについては、売り上げ数百億円規模にまで成長する青写真を描いている。Kunkun bodyから始まったニオイの見える化プロジェクトについて言えば、体臭だけでなく、食べ物や密閉空間の匂い検出、麻薬犬の代替といった領域にまで広げることで売り上げの最大化を図る。その取り組みの1つとして2020年6月には、歯周病由来の匂いを判別できる「Kunkun dental」の販売を始めている。

 BICについては、2020年4月から一歩進んだフェーズに移った。当初目指していた「ローカルの課題をローカルの拠点が解決策を生み出す」という活動に加えて、グローバル市場を意識した活動にも広げる。そのリーダーには波木井氏が就き、グローバル規模の大きな課題の発見と、事業拡大を目指すという。

波木井氏は2020年4月から、世界5カ所のBICの統括リーダーに就き、グローバル規模の課題発見と解決策の創出に踏み出す

(タイトル部のImage:加藤 康)