「使う」ではなく、「技術や人を一緒に育てる」

 こうした社内ヒアリングの延長にあるのが、「外部パートナーと一緒に作るプラットフォーム」と同社が位置付ける「G4A(Grants4Apps)」と呼ぶ活動だ。

 同活動は、2013年にドイツ本社のグローバルプロジェクトとして始まったもので、日本では2016年から「G4A Tokyo」として始動した。具体的には、バイエルからライフサイエンスに関する課題を提示し、外部企業から各課題に対する革新的なソリューションを募集するというものである。ライフサイエンスの領域に可能性を感じ、バイエルのような大企業との協業を望む企業はたくさんあるが、どこにどうやってアプローチしていいか分からないという声は多い。社内ヒアリングから見えてきたバイエルが抱える課題を外部に示し、課題解決に資するアイデアを一元的に集める場がG4Aだというわけだ。

 高橋氏は、こうした一連のオープンイノベーション活動において大切にしている姿勢として「共に創る」ことを挙げる。外部企業との連携となると、技術や企業そのものを買ったり、ライセンスを受けたりすることが考えられるが、そうした「完成品を選び、導入する」姿勢ではなく、「技術や人を一緒に育てる」(高橋氏)という考えがベースになっている。

 共創の例の1つとして、Buzzreachと共同で開発したスマートフォン向けアプリ「Study Concierge(スタディ・コンシェルジュ)」がある。同アプリは製薬会社による治験をサポートするものであり、治験に有効なデータを確保するために、治験参加者に対して通院日を通知したり、服用ルールに従って薬を飲んでいるかをチェックする機能を備えている。Study Concierge は、Buzzreach が2018年のG4Aに参加したことがきっかけとなって実現した(関連記事:治験からの患者脱落、アプリで防げるか)。

バイエル薬品とBuzzreachが共同開発したアプリ「Study Concierge」(出所:Buzzreach)