社内の「弱点」も隠さないG4A活動

 G4A Tokyoは、第5回(2018年)以降は「G4A Tokyo Dealmaker」と改称し、バイエル薬品が抱える課題を社外に提示したうえで、外部イノベーターのマッチングを図るプログラムへと発展させている。

2019年に開催した「G4A Tokyo Dealmaker」の様子(出所:バイエル薬品)

 バイエルの課題は、専門領域から社内業務に関するものまで幅広い。例えば、2020年の第7回のテーマをみると、循環器・腎臓領域における「慢性腎臓病の診断および進行モニタリング」といった製薬企業ならではのテーマもあれば、研究開発領域における「プレゼンテーション資料の構築効率化」という他企業への汎用性がありそうなものもある(関連記事:バイエル薬品、2020年版オープンイノベーションプログラムを始動)。

 後者の対象となるのは、世界市場に向けた薬事戦略を立案するためのプレゼンテーション資料だが、各国の規制要件は多数の項目があるうえに、社内の既存ファイルも多くのデータを含んでいる。このため、必要な資料を作るためには、たくさんのファイルから該当する項目を抽出・整理するという膨大な手作業が発生する。一連の作業を効率化し、必要な内容だけが入ったプレゼンテーション資料を作成したいというのが課題だ。こうした課題については社内の弱みを見せることでもありなかなか外部には出てこないものだが、「新しいものを作るためには、出すものは出す」(高橋氏)姿勢という。

 Dealmakerへの応募企業は、小さい企業から大きい企業まで様々あるが、特に重要だと思われるのが異業種、特にスタートアップ企業とのチャネルができることだ。普段から付き合いのある企業であれば製品や技術も既知のものが多く、そのアクセスは比較的容易だが、距離がある業界、特に若い企業ではそうはいかない。「今までには付き合いがなかった人たちからのアイデアが、本当のイノベーションにつながるはず」と高橋氏は言う。

 センター発足以降の活動を振り返ったとき、「オープンイノベーションとはWinWinの関係を作ること」(高橋氏)という。つまり片方が一方的に利益を得るような条件ではうまくいかないというのが、その心だ。

 WinWinの関係を作るうえでカギを握るのは担当者同士の関係性。「世界的な科学雑誌『Nature』や『Science』に載るような重要テーマでも、事業としてはうまくいかないことがある。最終的には人の問題。大事にしていることはパートナーと仲良くなること」。情報の開示をはじめとして対等な関係性を意識し、事業規模の大小にとらわれずお互いに遠慮なく議論することを心掛けているとする。