センサーを生かした常時モニタリングに期待

 バイエルが今後、期待する技術は何か。デジタル領域における期待の1つはセンサーによるモニタリングだという。センサーが小型化したことで、患者に常に身に着けたり、患者の近くに置いたりすることで、患者のデータを常時取得することが技術的には可能になっている。

スタートアップ向けインキュベーター(孵化)施設「CoLaborator Kobe」のオフィススペース(出所:バイエル薬品)

 このようなデータの常時取得については、他業種との連携の可能性が感じられる領域だ。連携例の1つが、住宅メーカーだという。病院以外でデータを取得する場所として、滞在時間が長い自宅は格好の場所である。自宅であれば、普段の様子をビデオで撮影したり、体温や血糖値といったバイタルデータを時系列で追ったりすることも、排泄物を分析することもできる。こうした各種データを分析すれば、適切な治療につながるようになる。これは、住宅にさらに付加価値をつけたい住宅メーカーとの思惑とも一致する(関連記事:私の夢は「医住連携」、住宅と医療はもっと密でなければならない)。

 センサーの活用のメリットについて高橋氏は、「点を線にすること」と表現する。つまり、数日おき、あるいは数カ月おきに取得するバイタルデータは「点」だが、センサーを活用することで測定頻度を上げることで、時間を追った変化が分かる「線」になる。そうしたデータについて、深層学習を活用して分析することで、患者にとって必要となる処置を探れるようになるというわけだ。

 連続値が価値を持つとみられる1つが血糖値だ。血糖値は、食後に急上昇することが知られている。空腹時に測定した値を見ただけでは病気の兆候は見えてこないが、常時測定することで何らかの予兆が見えてくる可能性がある。起床直後に上がることが知られている血圧についても同様だろう。

 高橋氏は、センサーを活用したこうした常時測定について「これからのブレークスルーにつながる」と期待をかけている。

(タイトル部のImage:出所はバイエル薬品)