在宅高齢者の低栄養予防に注力

 太陽化学のような歴史のある企業ばかりでなく、スタートアップとの共創にも意欲を見せる。東京大学と関わりが深いライフサイエンス特化のベンチャーキャピタルであるファストトラックイニシアティブなどを通じて、スタートアップの情報をこまめに収集している。中でも注目しているのはデジタルヘルス分野。2020年9月上旬には65歳以上を対象とした栄養状態の可視化アプリ「MNAプラス」をiOS/Androidで公開した。

栄養状態の可視化アプリ「MNAプラス」(出所:ネスレ日本)
栄養状態の可視化アプリ「MNAプラス」(出所:ネスレ日本)
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 これは自社で開発してきたMNA(Mini Nutritional Assessment:簡易栄養状態評価表)をスマホアプリに落とし込んだもの。設問に答える形で自宅から栄養状態を簡単にチェックし、フレイル(虚弱)対策や健康維持につなげる。アプリの開発はヘルスケアサービスに強みを持つメディエイドが手がけ、高齢者でも無理なく回答できる平易なUI(ユーザーインタフェース)とした。

 「これから最も力を入れたいのが、在宅高齢者の低栄養の予防。徐々に食欲がなくなって低栄養になると、感染症にかかりやすくなったり、筋肉が落ちてきて転倒したり、最悪の場合は骨折して寝たきりになったりしてしまう。問題なのは、すぐに利用できる客観的な栄養状態の評価手段がないということ。知らぬ間に低栄養状態になっていることが多く、それが社会課題となっている。

 MNAプラスはその課題を解決するための第一歩。簡単に自分の栄養状態を把握し、低栄養であると判断したら、次のステップでは当社の栄養ケア食品や栄養補助食品を活用していただく。もちろん、我々だけでは構築できない仕組みなので、訪問型の医療・看護・介護、地方自治体の管轄部署などと協力して広めていきたい」(中島氏)

MNAプラスを使うと、自身の栄養状態を簡単に理解できる(出所:ネスレ日本)
MNAプラスを使うと、自身の栄養状態を簡単に理解できる(出所:ネスレ日本)
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 将来的にはPHGGの特性を生かして排便管理を行うためのアプリや、一人ひとりの体調に応じてサプリメントを提供できるようなサービスの開発を進める構えだ。

 「これまでは製品だけで活動してきたが、デジタルヘルスを活用しながらQoL(生活の質)向上や総合的な栄養管理に貢献できれば。今後の核になるのはパーソナルヘルスデータ。それを活用するためには、専門家とパートナーシップを組む必要がある。得意分野を持つスタートアップと協業して、オープンイノベーションを仕掛けていくつもりだ」(中島氏)

(タイトル部のImage:加藤 康)