全国が注目する認知症「神戸モデル」とは
特集の第2回で登場した愛知県の大府市と並んで、2018年に政令市でいち早く認知症条例「神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例」を施行した兵庫県神戸市。まず注目したいのは「認知症事故救済制度」だ。福祉局介護保険課認知症対策係長の中原啓詞氏に説明してもらった。
「認知症の人が関わる事故が起きたとき、独自の見舞金制度と賠償責任保険のそれぞれの利点を生かしてサポートするものです」(中原氏、以下「」内の談話は全て同じ)
見舞金とは、認知症の方が起こした事故で被害に遭った市民に見舞金という形でお金を給付する仕組みだ。一方、賠償責任保険制度は、認知症と診断された方が万が一事故を起こし、賠償責任を負った場合に備えて、神戸市が保険料を負担し事前に賠償責任保険に加入するというもの。
「自動車事故と労災保険が適用される場合には対象外となるのですが、それ以外は給付調整を行わないので、かなり広域にカバーできていると思います」
「認知症事故救済制度」の詳細。見舞金制度と賠償責任保険制度を提供する
見舞金(給付金)制度 | 賠償責任保険制度 |
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認知症と診断された方が起こした事故で損害に遭った市民に給付。 *自動車事故など対象外あり 《事故に遭われた市民に支給》全て最高額 ・死亡 3000万円 ・後遺障害 3000万円 ・入院 10万円 ・通院 5万円 ・財物損壊 10万円 ・休業損害 5万円 《事故を起こした市民に支給》全て最高額 ・被害者見舞費用 10万円 *被害者が市外の方の場合に限る ・類焼被害者見舞費用 30万円/世帯 *被害者が市民の方の場合に限る |
①神戸市が保険料を負担して認知症と診断された人が賠償責任保険に加入。 1事故につき最高2億円 *自動車事故など対象外あり ②認知症の方が交通事故等(自動車事故も含む)でお亡くなりになった場合等に保険金を支払う。 ・死亡 100万円 ・後遺障害 42万 |