実際の保険が適用されたシーンとは?

 2019年5月、神戸市内在住の50代の女性が80代の父親を誘ってフレンチレストランに食事に出かけた。1週間後、店から電話があり、「当日お父様が使っていたソファーについたシミが取れない」と伝えられた。気付かないうちに粗相をしていたのだ。

 父親は要介護認定を受け介護サービスを利用していたので、50代の娘さんは担当のケアマネジャーに相談した。すると「神戸市の制度が利用できるはずですよ」とアドバイスされ、件の保険に加入していることを思い出した。

 「このケースでは、ソファーが置かれていた場所の営業補償も含め13万8632円が支払われました」

 男性は、認知症の症状があるものの着替えや食事はひとりでこなすことができた。しかし勘違いで警察を呼んだり、間違って他人の家に上がり込んだりなどのトラブルが過去にもあったという。

 要介護2くらいが一番大変──これは介護の現場でよく聞かされる言葉だ。

 身体は元気だが、認知症だけ進んでいるという人が、このくらいの要介護度に多いからに他ならない。筆者は両親を2人とも自宅で看取ったが、やはり要介護2~3くらいが最も手がかかりトラブルも多かった。神戸市のような仕組みがあれば、間違いなく登録していただろう。