認知症条例から見る高齢化問題。第4回目は東京都葛飾区に注目する。全国の様々な自治体で整備が進む認知症条例だが、どの例を見ても議論の中心となっているのが賠償責任保険の問題だ。東京都でいち早くこの仕組を取り入れた葛飾区。そこには同区ならではの事情がある。

 本特集ではこれまで、愛知県大府市と兵庫県神戸市の認知症条例について見てきた。両市とも根底にある問題意識は賠償責任についてだった。認知症を持った方がトラブルを起こし、関係者に賠償責任が生じた場合に自治体が独自に整えた制度で補償してくれる。

 認知症条例はなくとも保険制度だけは整えているという自治体も多い。現在全国に40例ほどが確認できる。

 それぞれの自治体が加入しているのは、「個人賠償保険」といわれる民間保険だ。日常生活で他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりなどして法律上の損害賠償責任を負ったときに対応する。

 東京都でも認知症保険を取り入れる自治体は増えつつある。先鞭をつけたのが葛飾区だ。他区に先駆けるかたちで平成29年12月にスタートした。

葛飾区役所(撮影:末並 俊司、以下同)

 東京都23区内でも葛飾区は高齢化率が高く、23区の平均が21.6%に対し同区の高齢化率は24.5%と突出している。このような背景に加え、認知症保険導入の理由は、「東京の田舎」と言われる葛飾ならではの事情がある。

 同区福祉部高齢者支援課の地域包括ケア担当課長石川まどか氏に話を聞いた。

 「認知症保険の整備は、やはり愛知県大府市で起きたJR東海道での事故の影響が大きかった(詳細は本連載の第1回を参照)。裁判では最終的に家族に責任はないという判断になったのですが、場合によっては関係者が訴えられる可能性があるということが印象付けられる事件でもありました」(石川氏、以下「」内の談話は全て同じ)