受診率が1年で9%から27%に大きく上昇した手法とは…

 きっかけを提供する手法として、個人のがんリスクを分かりやすく示すやり方も実施しています。国立がん研究センターが、がんのリスク要因をがんの種類別にまとめており、それを利用した取り組みです。

 例えば、大腸がんでは、確実にリスクにつながるのが飲酒。ほぼ確実にリスクにつながるものが肥満と運動不足。リスクの可能性があるのが喫煙です。これらのリスク要因に該当する人は多くいらっしゃいます。個人の生活習慣を基に、がんのリスクを個人ごとに分かりやすく伝えられないかと考えました。

 活用したのは、特定健診受診時の問診結果です。問診で「喫煙する」「飲酒をする」「運動をあまりしない」などと答えている結果に基づき、その人に該当する大腸がんのリスクを受診勧奨のメッセージに合わせて送ったのです。すると、受診率は前年度の9%から27%に大きく上昇しました。

 これまで我々が13年かけて分かってきたのは、受診勧奨の「通知の工夫」が重要だということです。「たまたま受けていない」という人の行動変容を促すきっかけとして、自治体からの通知をいかに工夫するかという点には、大きなインパクトがあります。行動科学や行動経済学といった異分野の知見が生きてくる分野だとも言えます。(談)


(タイトル部のImage:剣持 悠大)