一般消費者の方々に正しく理解いただくことも重要

 今後、がんのスクリーニング検査を社会に提供していく上で、想定される課題は幾つかあります。

 まず、検査としての品質の担保です。品質保証の基準を社内で明確にするとともに、PMDAによる外部の審査も入れることで、一定の品質担保をしていこうと考えています。

 次に、検査後のフォローアップ体制の整備。スクリーニング検査で陽性だった場合、その後、精密検査を受けるわけですが、現状はここがスムーズにつながっていないケースもあります。この部分の連携を促進し、精密検査の結果を正しくフォローできる体制を構築していきたいと考えています。

 そして、「過剰診断」も懸念される課題となります。がんのスクリーニング検査による積極的な介入が、逆に不要な超早期のがんを見つける可能性があり、そこに果たしてどれだけの意味があるのかという点です。がん種によっては、早期で見つけた場合、積極的な介入を行わず、経過観察のみを行う場合があると聞いています。一方で、医療現場からは、一部のがんには急速な悪性化が認められるのもまた事実であると聞いています。

 一概に良い悪いとするのではなく、がん種ごとの得失を考慮する必要があるわけです。この点は、引き続き医療従事者の方々と意見交換させていただきながら、何が最適かを考えていきたいと思います。

 最後に、一般消費者の方々に検査を正しく理解いただくことも重要だと考えています。理解を得るために情報提供をするといっても、多くの一般の方々にとっては「次世代シーケンサー」「スモールRNA」「ディープラーニング」といった言葉は耳馴染みがなく、何のことか分からないというのが正直なところではないかと思います。キャッチーなキーワードを踊らせて、興味関心を引くのは安易ですが、極端にそういった手法に偏るのは危険だと考えています。

 難易度は高いですが、これまでの研究で得られた結果は協力いただいている医療施設の先生方に適宜共有しながら、課題を議論しています。そのような姿勢で、医療現場と適切にコラボレーションを進めながら、受診者の方々にどのように情報を伝えていくのが適切なのか、考え続けていく必要があると感じています。

 これを達成した先には、私たちが求めるシックケアからヘルスケアの未来があります。スモールRNAによるがんの早期スクリーニングに可能性を感じており、日々、開発に取り組んでいます。(談)

(タイトル部のImage:剣持 悠大)