血液からがん診断、膵臓がんでは「偽陽性」の課題も

 新たな検診方法として、血液からがんを診断する技術の開発を進めています。血液中のマイクロRNAを調べることで、がんの有無を判断しようというものです。患者にとっても負担の少ない検査方法ですから、早期にがんを発見する方法として社会実装が重要なテーマと考えています。

 研究段階ですが、早期および進行の大腸がんを調べたところ、感度99.9%、特異度88.6%と高い値を確認しました。また、発生部位によらず、同等の検出感度を出せることも確認しています。

 現在は、保存された検体で実施したものになります。今後は、前向き試験により検証を続けていく必要があります。

 膵臓がんについても、既に知られているバイオマーカーのCA19-9と比べ感度、特異度の高さを示すことができています。実現すれば、血液を用いた検診によって、膵臓がんを検出できる可能性がでてくるわけです。

 ただし、膵臓がんのように罹患率が低いがんでは、偽陽性の課題があると認識しています。例えば、膵臓がんの罹患率を0.03%(10万人に30人罹患)と仮定し、感度95%、特異度95%の膵臓がん検診を20万人に実施した場合を考えてみます。

 この場合、20万人のうち膵臓がんに罹患しているのが60人、罹患していないのが19万9940人です。感度95%なので60人のうちがんを発見できるのが57人。特異度95%なので偽陽性となるのが9997人という計算です。つまり、検査で陽性となる1万54人のうち、57人(約200人に1人)からしか膵臓がんを発見できないわけです。

 検査で陽性となれば、精密検査を行い、内視鏡を使って超音波による診断をします。200人に1人のすい臓がんを見つけるために、これが妥当なのかは議論をしていく必要があります。(談)

(タイトル部のImage:剣持 悠大)