何歳までのスクリーニングに意味があるのか?

 最後に、座長である日本学士院長、京都大学名誉教授・元総長の井村裕夫氏が、こう切り出した。「がんの罹患は加齢とともに増える。高齢化が進んでいく中で、80歳や90歳代のがんをどう考えるべきか。どの年代まで、スクリーニングを実施する意味があるのかという点は、今後の課題ではないだろうか」。

 スクリーニングは、命に関わる段階になる前に早期発見につなげることが目的だ。80歳代以上の高齢者において、必要以上にがんを早期に発見する意味があるのだろうかとの投げ掛けである。

 これに対して中釜氏は次のように述べ、今後の議論が必要だとした。「がんの発生は年齢とともに増え、80歳や90歳代にがんが多いのは間違いない。ただし、その年代における死因の1位ではない。がんが死因の1位になるのは男性の場合は70歳くらいまで。それを超えると、肺炎などその他の原因ががんを上回る。日本においては検診に年齢制限を設けていないが、それが本当に適切かどうかについては、現時点では十分になされていない」。

 同時に中釜氏は、がんの早期発見に向けた研究開発と並行して、がんの発生を遅らせる研究も重要になるとの見方を示した。「老化と関連するがん化というプロセスを、いかに遅らせることができるかという研究は非常に重要。これにより、60~70歳代までは極力がんに罹患しないような仕組みや対策について、研究レベルで深めていく必要がある」。

 開発が進む新たながんスクリーニング技術は、がんと早期に対峙していく上で極めて意義があるものだ。だからこそ、様々なステークホルダーが相互に理解し、正しい形で社会実装されていくことが今後、何よりも重要になる。

(タイトル部のImage:剣持 悠大)