Beyond Healthは2020年10月15日、日経クロスヘルスEXPO 2020において特別セッション「これが未来の住宅『Beyond Home』の全貌」を実施した。住宅という空間を軸に起きるヘルスケアイノベーションや異業種連携について議論が展開された(関連記事:「Beyond Home」を題材に異業種連携などを議論)。

 セッションのテーマであるBeyond Homeは、Beyond Healthが描いた2030年に実現しているべき未来の住宅。大きく、(1)生体データや行動データ、環境データなどあらゆるデータを測定・蓄積する、(2)データを活用して健康に導く働きかけをする、(3)命を守ったり健康を増進させたりする仕掛けを施す、という3つの要素を盛り込んでいる(関連記事:これが未来の住宅「Beyond Home」の全貌 3つの要素で“健康”を作り出す空間に)。

 セッションの前半では、パネリストがそれぞれの取り組みなどについて紹介。その一人として登壇した東洋大学 INIAD(情報連携学部) 学部長の坂村健氏は、同氏がかねて手掛けてきた「2030年のIoT住宅」について語った。

住宅にOSが搭載されれば、その上でいろんなアプリが動く

 坂村氏は、日本を代表するコンピューター科学者の1人。80年代に「TRONプロジェクト」をリードし、コンピューターが日常生活に溶け込むSFのような世界観を提唱。いわゆるユビキタスコンピューティングの先駆者である。

東洋大学の坂村氏(写真:剣持 悠大)

 同氏は現在、東京都北区赤羽台にある東洋大学INIAD(情報連携学部の略称)で学部長を務める。INIADはキャンパス全体がIoT化され、まさにTRONプロジェクトを再現したものとなっている。並行して「INIAD cHUB」の名称で外部の企業・団体・組織と連携を加速するコンソーシアムを牽引。ここではキャンパスに隣接する赤羽台団地の登録有形文化財「赤羽台スターハウス住棟」において、都市再生機構(UR)などとともに「Open Smart UR」を手がけた(関連記事:坂村健氏がIoT・AIで創る第三世代の電脳住宅とは)。

 「Open Smart URでは、昭和30年代に建てられたスターハウスをIoTとAIによってスマートハウス化した。44平米の部屋に44個のセンサーが付いている。まさにBeyond Homeの実物モデルのようなものだ。鍵となるのはオープンプラットフォームで、HaaS(Housing as a Service)がコンセプト。機能連携、サービス連携、データ連携の3つの連携を軸として、まったく関係のなかった人たちが1つのプラットフォーム上でつながることを最大の目的としている」(坂村氏)。

 坂村氏はこのプラットフォームをわかりやすく「団地OS」と表現する。「パソコンと一緒で、住宅にOSが搭載されれば、その上でいろんなアプリケーションが動くようになる。スマート化したところで、アプリが決まったメーカーのスマホでしか使えないのでは限界がある。特定の用途のためだけに使うという考え方ではなく、あらゆることに活用できるプラットフォームを提供すること。それこそが連携の命だ」(坂村氏)。