耐糖能異常の割合は米国の肥満者より多く

 では、結果はどうだったか。標準体重の若年女性の耐糖能異常の割合は1.8%、一方、やせた若年女性では13.3%だった。標準体重の女性に比べ、やせた女性は実に7.4倍も耐糖能異常の割合が多かったのだ(下図)。

痩せた若年女性では耐糖能異常が多い(出所:順天堂大学プレスリリース)

 「米国の肥満者の耐糖能異常の割合は10.6%と報告されている。日本のやせた若年女性は、それすらも上回っていた。まさか、ここまで多いとは予想していなかった」と田村先任准教授は話す。

 研究では耐糖能異常だけでなく、体組成測定(DXA法)、体力測定、食事内容や身体活動量に関するアンケートも実施した。その結果、やせた若年女性は標準体重の女性に比べて、体重が少ない、特に筋肉量が少ない、身体活動量が少ない、エネルギー摂取量が少ない、という特徴があることもわかった。

 「つまり、食事量も運動量も少ない『エネルギー低回転型』の人が非常に多かった。やせていると言っても、アスリートのように1日4000kcal食べて、20キロ走っているような人もいれば、1日1500kcalしか食べず、3000歩しか歩かないような人もいる。今回の研究で、やせているのに耐糖能異常の割合が多かったのは、後者のタイプ。あまり食べず、あまり動かないから、筋肉量も少ないのだろう」

 さらに、耐糖能異常の状態を詳しく解析したところ、インスリン分泌の低下だけでなく、インスリン抵抗性、つまりインスリンの効きにくさも中年肥満者と同程度に生じていることが明らかになった。また、血中の遊離脂肪酸濃度も高かった(下図)。これは何を意味するのだろうか。

痩せた若年女性の耐糖能異常の特徴(出所:順天堂大学プレスリリース)

 「インスリン抵抗性は、肥満に伴って生じることが多い。やせ型の人の糖代謝異常はインスリンの分泌低下が主な原因だと従来考えられてきたが、今回の研究では、やせた若年女性にも肥満者と同様のインスリン抵抗性が認められた。また、血中の遊離脂肪酸濃度が高いということは、脂肪組織から脂肪が漏れ出て全身にばらまかれていることを意味する。これも肥満者によく見られる現象だ。つまり、やせた若年女性は肥満者と同様の代謝異常に陥っており、いわば『代謝的肥満』と呼べる状態にあることが、今回の研究で初めて明らかになった」

 やせているのに、糖や脂肪の代謝は肥満者と同じ。田村先任准教授は、このような状態を“やせメタボ”と呼んでいる。

 なお、今回の研究結果は、米国内分泌学会雑誌「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」のオンライン版(2021年1月29日付)で公開された。