糖尿病予備軍の「やせた体重」を適正にするには

 やせた若年女性の耐糖能異常は、将来の糖尿病発症へとつながる可能性がある。これを防ぐためには、エネルギー低回転型のライフスタイルを見直すことが何より重要だという。つまり、食事量を増やして十分な栄養を摂取し、体重を増やす。そして筋肉の量と質を改善する。田村先任准教授は、その最も効果的な方法は、「運動」+「食べる」だという。

 「しっかり食べて体重を増やすことは大切なのだが、実は、やせた若年女性にとっては難しい場合が多い。これまで少ししか食べてこなかったため、なかなか食事量を増やせないのだ。女性のやせの問題に取り組んでいる専門家も、どうしたらもっと食べてもらえるかと、みな苦心しているのが実情だ。そこで発想を少し変えて、まずは運動することを提案したい。ウォーキングでもいい、ちょっとした体操やヨガなどでもいい。とにかく体を動かすことから始めてみてほしい。運動をすると気分がすっきりするし、お腹も減るので自然と食べる量が増える場合も多い。そうやってエネルギー回転を徐々に上げていく。もちろん、運動は筋肉の状態も改善してくれる」

 筋肉の量を増やすには、筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動が効果的だ。スクワットや腕立て伏せなどの筋トレの他、階段や坂道の上り下り、ハイキングや山登りなどもお勧めだという。一方、筋肉の質を上げるには、ウォーキングやジョギング、水泳、自転車こぎなどの有酸素運動が有効だ。有酸素運動には脂肪燃焼作用があるので、筋肉に蓄積した脂肪が減り、脂肪筋や筋肉のインスリン抵抗性の改善につながる。

 「一番意識してほしいのは、毎日の歩数。厚生労働省の健康づくりのための身体活動指針では1日8000歩が目標とされている。これをぜひ目指してほしい。通勤時にはできるだけ多く歩く、階段を使う。家でも家事や買い物など、こまめにちょこちょこ動いて身体活動量を増やすようにする。また週末には、しっかり体を動かすスポーツやハイキングなどをすれば、さらにいい。脂肪筋は運動で変化しやすく、内臓脂肪や皮下脂肪よりも減るのが早い。筋肉のインスリン抵抗性の改善は、体重が減る、増えるとは関係なしにもたらされる」

 運動の効果は大きいが、今後は個々人の筋肉の状態に応じて個別に指導するようにすれば、さらに効果的だろうと田村先任准教授は言う。例えば、筋肉の質はいいが量が足りない人にはレジスタンス運動から始めてもらう、筋肉の量は十分だが質の悪い人には有酸素運動を増やすように勧める、といった具合だ。ただ「運動をしましょう」ではなく、各自の筋肉の状態をチェックした上で、より効果的な運動法を選択するわけだ。

筋肉の状態に応じた運動の組み合わせ
筋肉の質はいいが量が足りない人にはレジスタンス運動から始めてもらう、筋肉の量は十分だが質の悪い人には有酸素運動を増やすように勧めるといった工夫を(資料提供:田村氏)