女性活躍推進法が今年4月に施行され、ダイバーシティへの取り組みも広がる中、女性特有の健康課題への対応が注目されている。女性が活躍し続けられる環境をつくり、健康経営を実現するためにはどのようなサポートが必要なのか。三菱地所の「まるのうち保健室」とファムメディコが行った疫学調査から、これからの健康診断のあり方が見えてきた。

 三菱地所が東京・丸の内エリアを中心に、働く女性の健康づくりをサポートするために行っているプロジェクト「まるのうち保健室」と、クレアージュ東京 レディースドッククリニックを運営コンサルティングするファムメディコが、今年3月「働く女性ウェルネス白書2022」を発表。これはクレアージュ東京 レディースドッククリニック提供のオリジナル健診プログラムに参加した、294人の女性の検査結果とアンケートをもとに神奈川県立保健福祉大学イノベ―ション政策研究センターが分析した調査データで、働く女性が直面しているさまざまな健康課題が明らかになった。

経腟超音波検査では4人に1人が「所見あり」。子宮頸がん検診だけでなく子宮・卵巣の疾患を調べる検査が必要

画像提供:ファムメディコ 調査出典:まるのうち保健室「働く女性ウェルネス白書2022」(c)三菱地所・ファムメディコ・神奈川県立保健福祉大学
画像提供:ファムメディコ 調査出典:まるのうち保健室「働く女性ウェルネス白書2022」(c)三菱地所・ファムメディコ・神奈川県立保健福祉大学
[画像のクリックで別ページへ]

 今回の調査では、一般的な健康診断ではオプション項目にもあまり入っていない「経腟超音波検査」を実施。これは膣内に細いプローブを挿入し、超音波で子宮や卵巣を映し出す検査だ。その結果、4人に1人、40代では42%もの女性に所見があった。
 有所見者で最多だったのは子宮筋腫で66%、次に卵巣嚢腫(14%)、子宮内膜症(11%)が続いた。これらの疾患は月経痛や貧血の原因になり、女性のQOLや労働生産性を大きく低下させてしまうほか、将来的には不妊や子宮体がんなどのリスクも高めるため、早期発見が重要だ。しかし今回の有所見者のうち33%は、婦人科の受診経験が全くなかった。

「日本の義務教育では女性特有の症状や対処法について学ぶ機会がほとんどないので、今回の調査でも月経困難症やPMS、不妊症、更年期症状について理解している人は、それぞれ10~27%しかいませんでした。そのため婦人科受診にも至っていないのが大きな問題です」(ファムメディコ 取締役 CVO 佐々木彩華さん、以下同)

 企業の健康診断では、乳がんや子宮頸がん検診は費用補助が行われていることが多いが、月経がある女性の20~30%にあるといわれる子宮筋腫をはじめ、子宮内膜症や子宮腺筋症、卵巣嚢腫などが自覚症状のない段階でも見つけられる「経腟超音波検査」も追加すれば、多くの女性のキャリアやライフプランにプラスになるはずだ。