肥満につながる乳幼児の睡眠不足

乳幼児期に睡眠時間が足りていないと、どのような問題が起きますか。

 睡眠コンサルタントとしての経験から言えるのは、乳幼児期、特に赤ちゃんの場合は、睡眠不足だと日中不機嫌になる傾向があります。ですので、何をしても泣く、どうやって泣き止ませたらいいか分からないなどの悩みがある場合、まず睡眠不足を考えるほどです。

 また、遅寝遅起き傾向の強い幼児で、「午前中はぼんやりしている」「怒ってものを投げる」などと言われたりする場合も、早寝早起きをさせ、睡眠時間を十分確保することによって、問題が改善されていくことがあります。

病気のリスクはありますか。

 睡眠不足だとBMIが高い、つまり肥満傾向になるという研究は数多く発表されています。「富山出生コホート研究からみた小児の生活習慣と肥満」では、3歳時の睡眠不足が小学校4年時、中学校1年時の肥満に影響しているという結果も出ています。同研究では、3歳児に早寝をしていた子どもの方が、小学校4年時にも早寝になりやすい傾向が多少あるとされています(※7)。

 また、先ほどお話ししたメラトニンは細胞を守り、規則的に眠気をもたらす他に、性的成熟を必要な時期まで抑える作用があるホルモンでもあります。一生の中で1~5歳くらいまでに最も多く分泌されるため、この時期を「メラトニンシャワーを浴びる」と表現されるほどです。少なければ、例えば初潮を迎えるのが早くなるなど、第二次性徴(思春期に起こる体の変化)が早まってしまいます。

メラトニンは光の刺激を受けて14~16時間後、暗くなると分泌されるとのことですから、夜明るいところで親が寝る時間まで一緒に過ごしていたら、メラトニンシャワーがどんどん減ってしまいますね。やはり、「寝かしつけ」の際に「添い寝」をするのではなく、子どもだけで眠れるようにトレーニングしたほうが良いということでしょうか。

 必ずしも添い寝がよくないということではありませんが、寝かしつけのときに親が側にいると、睡眠トラブルが多いというデータはあります。

 例えば「夜中起きる回数が多い」という現象は、主に授乳での寝かしつけが関連(影響)していると言います。また就寝時に1人で寝ていないこと、哺乳瓶を与えてする寝かしつけ、そして月齢も影響すると言います(※8)。

子どもだけで眠れるようにすることは、その後の人生にも大きく関わりそうですね。

 私がお伝えしているベストな方法は、「ずっと側にいる寝かしつけをしないこと」。深い睡眠から浅い睡眠へと移行するとき、大人でも少し目が覚めることがありますよね。乳幼児の場合、その時にそのまま入眠できればまだ深く眠れますが、例えば、寝かしつけの時に授乳が必要だったり、添い寝が必要だったりすると、夜中に目が覚めた瞬間、「添い寝してくれていない」「授乳してくれていない」と気づいて、驚いて泣いて親を呼ぶことになります。そしてまた、添い寝や授乳をしないと眠れないわけです。

 そうなると当然親も睡眠を妨げられますし、子ども自身も「泣いて親を呼んで、寝かしつけてもらう」という行程を経なければならなりません。1人で眠れるようになれば、ひと時目が覚めても、スムーズに入眠でき深く眠れるようになります。

 日中は元気に活動し、夜はぐっすり眠るという良い生活リズム、良い睡眠の習慣をつけておくことは、乳幼児期だけでなく、生涯役立つと考えられます。(後編に続く)

【今回のポイント】
  • 日本の乳幼児は世界の中でも睡眠不足
  • 親の就寝時間が乳幼児にも影響
  • 睡眠不足の子どもは肥満になりやすく、第二次性徴が早まる恐れ
  • 乳幼児期の子どもにはメラトニンシャワーが必要
  • 良い睡眠習慣=生涯役立つ習慣

(タイトル部のImage:WESTEND61/アフロ)