「そのまま温泉に入ったら中身が漏れるんじゃないか」

 「クラブツーリズムと違って、近畿日本ツーリストは独自の会員組織を持ってはいません。様々な企業や団体と連携して、その企業や商品などのユーザーが抱える社会的な課題を解決するイトグチを見つけようとしたのです」(伴流氏)

 2019年12月に実施した「オストメイト向けツアー」はその好例だ。人工肛門・人工膀胱を使っていらっしゃる方々の温泉旅行である。物理的なバリアではなく、「悪意の視線」や「無知からの思い込み」というバリアとの戦いである。

 「ストーマ、つまり人工肛門や人工膀胱はお腹に直接穴を開けて、そこに袋をつけて大腸などから直接排泄物を溜めるものです」(伴流氏)

 使用したことのない者にとって、ストーマは未知の道具だ。お腹につけた袋に排泄物を溜めることくらいは知っていても、その実態までは理解していない。

 「袋は基本的にずっと付けていなければなりません。外すのは交換するときだけ。だからお風呂にも付けたまま入ります。そうしたときに、そのままお温に入ったら中身が漏れるんじゃないか、破れるんじゃないか、お風呂に入るときは外して来いよ──など、無知による批判にさらされるわけです」(伴流氏)