きっかけはお父さんの認知症

 「2013年に私の父が認知症の診断を受けたんです。幸い進行はさほど早くなく、今でも介護サービスは受けておらず、母と二人で暮らしています」(清水さん、以下「」内はすべて清水さん)

 それまでの人生で認知症当事者とかかわりはなく、とくに知識やサポートする態勢がないなかでのことだった。ただ認知症の診断が出たとはいえ、日常生活がただちに不自由になるというほどではなかった。それでもアルツハイマーの中核症状である物忘れは深刻で、処方された薬の管理などの課題はあった。

 「飲み忘れないようにしてもらうため、あれこれ必要なものを取り揃えていきました。このときに、いろいろなものが帯に短し襷(たすき)に長し、ということを思い知らされました」

 清水さんは「今でも使っているのですが」とポケットつきの大きなカレンダーを示しながら説明してくれた。日付ごとに並んだポケット部分が透明になっており、何を入れているのかひと目でわかる。

 「いわゆるお薬カレンダー、と呼ばれるたぐいの商品ですが、“ちょうどいいもの”に行き着くまでに、けっこう時間がかかりました」

 いろいろなところで探してみたというが、大きさや素材の面で「これ」というものがなかなか見つからない。そんななかで最初に選んだのは、サイズ感はちょうどよかったのだが、一週間ぶんの曜日が縦に並んだものだった。

 「見やすそうだな」と思い、買ってみたらしいのだが・・・。

 「普通のカレンダーって1日から31日まで、一週間が横並びになっていますよね。ところが最初に選んだものは縦に並んでいるので、父が混乱してしまって、うまく使いこなすことができませんでした」

 結局今使っているものに行き着くまでに数カ月かかったという。