これがOTC医薬品向けタッチディスプレイのメリット

 Vmaxと連動する形で導入したのが、同じく日本BDのOTC医薬品向け大型タッチディスプレイ「BD Rowa Vmotion デジタル・シェルフ」(以下、Vmotion)だ。Vmotionの導入は日本初の事例となる。

 Vmotionはリアルな薬剤棚に代わるバーチャルソリューションとして期待されている。イイジマ薬局 社長(有限会社飯島 代表取締役)の飯島裕也氏は、「きっかけは10年ほど前に、欧州の医療機器展示会で自動払い出し機とサイネージを目にしたこと。今後、この流れが加速すると考えた」と振り返る。その言葉を裏付けるように、グローバルではすでにVmaxが約1万台、Vmotionが約900台導入済みだ。

イイジマ薬局の飯島裕也氏
イイジマ薬局の飯島裕也氏
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 イイジマ薬局では、55インチディスプレイを合計4台導入した。活用に関する患者のメリットを、飯島氏は次のように説明する。

 「上田市はかかりつけ薬局に来る人が圧倒的に多い。そのため、OTC医薬品を購入するにしてもドラッグストアのように決め打ちで買うのではなく、薬剤師にきちんと相談するケースがほとんど。我々はまず患者の症状を丁寧にヒアリングして、その情報をもとに経過観察や受診勧奨などを判断する。その上でOTC医薬品で対応できる症状であれば勧めている。

 その際、これまではカウンター後方の陳列棚にある箱を1つ1つ手に取って説明していた。だが、箱の裏に小さな文字で書かれている成分を口頭で説明しても理解は難しい。Vmotionであれば添付文書を使いながら、用法・用量、効果・効能、成分・分量、副作用の注意事項などを大画面で情報提供できる。視覚的に多くの情報が得られるので理解が深まると、患者からの評判も上々だ」(飯島氏)。

採用中のディスプレイは4台。「あればあるほど助かる。もっと増やしたい」(飯島氏)
採用中のディスプレイは4台。「あればあるほど助かる。もっと増やしたい」(飯島氏)
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 飯島氏はその場で、2つの画面を駆使して鎮痛剤の比較を例示してみせた。OTC医薬品の中では「ロキソニンS」が有名で、CMで知ったり、周囲の評判を聞いたりして指名買いに来る患者が多数いる。「ただし、鎮痛剤にもいろんな種類がある。きちんと成分やリスクを説明し、似たタイプの鎮痛剤を並べて見せることで、どちらが自分にあっているかを検討できる。今後、セルフメディケーションの観点からOTC医薬品の重要性がますます高まる中、こうしたツールは薬剤師がきちんと責任を持って販売することにも一役買うに違いない」(飯島氏)。

Vmotionを使っての鎮痛剤の成分・分量の比較。比べることで選択肢が広がる可能性が出てくる
Vmotionを使っての鎮痛剤の成分・分量の比較。比べることで選択肢が広がる可能性が出てくる
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デリケートな症状で大画面での説明にためらいがある場合はタブレットを活用
デリケートな症状で大画面での説明にためらいがある場合はタブレットを活用
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 薬剤師にとってのメリットはどうか。まずは物理的に薬剤箱を並べる必要がなくなり、こまめな掃除がなくなったことが大きい。地味なようだが、ホコリや箱の日焼けは常に気を配る必要があるだけに、日々の工数削減に効いてくる。また、OTC医薬品は第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品とリスク別分類による陳列が義務付けられているが、これもバーチャルで写真を並べて完結するため非常に容易になった。

 ロボットシステムとの連動で在庫管理が可視化されたことも見逃せない。ドラッグストアの陳列でわかるようにOTC医薬品はたくさん並べておくのが定石であり、その結果、在庫の適正化が難しくなり期限管理も把握しにくくなる。「だがVmaxはシステム任せで円滑に管理できる。導入後の棚卸しも劇的に楽になることが目に見えている。薬剤師の中には、1kmも移動距離が減ったスタッフもいた。今まではそれだけ薬局内を歩いていたということ。これは明らかにデジタル化の恩恵だ」(飯島氏)。