老化を促進させる原因物質としてAGE(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物。読みはエージーイー。AGEsとも呼ばれる)が注目を集めている。AGEは、糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったたんぱく質のこと。変性したたんぱく質が細胞や臓器に炎症を引き起こし、老化を加速させる要因になっている。このAGEに世界に先駆けて着目し、30年以上に渡って研究し続けているのが、昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門の山岸昌一主任教授だ。山岸教授に、AGEと老化の関係やAGEの体内蓄積を抑える研究成果について聞いた。

昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門の山岸昌一主任教授
昭和大学医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科学部門の山岸昌一主任教授
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AGEの蓄積が老化を促進し死亡リスクを高める

 脳、目、頭髪、皮膚、心臓、腎臓、肺、消化器、生殖器、血管、骨、筋肉など、私たちの体の屋台骨はたんぱく質でできており、それぞれの場所で機能することで健康を維持している。ところが、たんぱく質の機能は加齢と共に劣化し、本来の機能を果たせなくなって行く。この現象に大きく関わっているのがAGEだ。AGEは、食事などで過剰に摂取した糖とたんぱく質が結合するなどして発生する。AGEが体内に増えると老化が進みやすくなり、加齢に伴う様々な病気の引き金になると考えられている。

 「AGEは、いわば、たんぱく質が劣化して機能が損なわれた成れの果ての物質です。誰でも加齢と共にAGEが溜まりますが、同じ年齢でもその蓄積度には個人差があります。一般住民7万人以上を対象とした研究では、AGEの蓄積が多いグループは、糖尿病や心臓病に3倍かかりやすく、死亡リスクが5倍で、寿命が短いということが明らかになっています*1。AGEの蓄積度が高い人は握力が弱く歩くスピードが遅い。転倒や骨折もしやすいので、健康寿命を縮めるリスクもあります」と山岸教授は説明する(図表1)

図表1●コラーゲンのAGE化が人体に及ぼす影響(出所:『老けない人は何が違うのか』(合同出版)を基にBeyond Health作成)
図表1●コラーゲンのAGE化が人体に及ぼす影響(出所:『老けない人は何が違うのか』(合同出版)を基にBeyond Health作成)
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 体内に溜まっているAGEの量=AGEの蓄積度は、オランダで開発された「AGEリーダー」や「AGEスキャナー」という機器で簡単に測れる。これらの測定器は、AGEが、目に見えない特殊な蛍光を発生することを活用している。腕や首の皮膚が発する自家蛍光量を12秒程度測ることで、体内に蓄積されたAGE量が簡単に分かる仕組みだ。

 山岸教授らの研究チームが全国の約1万1000人(20~79歳)を対象に皮膚のAGE量と生活習慣の関係を調べた研究では、喫煙、運動不足、精神的ストレス、睡眠不足、朝食抜き、甘い物の食べ過ぎによって蓄積度が増すことが示された*2

 「体内にAGEが蓄積すると体のサビを取る抗酸化機能も低下。活性酸素が増えて体のあちこちで慢性炎症が起こり、さらにAGEが増加して老化が進むという悪循環に陥ります(図表2)。AGEの蓄積度を測ることで、体の老化度や、糖尿病や心臓病になりやすい状態かどうかが分かるので、生活習慣の改善を促す動機づけにつながります」(山岸教授)

図表2●AGEの増加によって老化が進行するメカニズム(出所:『老けない人は何が違うのか』(合同出版)を基にBeyond Health作成)
図表2●AGEの増加によって老化が進行するメカニズム(出所:『老けない人は何が違うのか』(合同出版)を基にBeyond Health作成)
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