老化は20代から始まり50代で加速

 とはいえ、老化はフレイルが顕在化する前から始まっている。樂木教授は、「細胞と臓器の老化は20代から始まり、50代で加速する傾向がある。国内外の研究から、生活習慣の改善などによって老化の進行を遅らせられることが分かってきた。高齢者になってからできる対策もあるものの、老化の進行を遅らせて健康長寿を目指すためには、例えば30代~40代くらいから老化制御に取り組むなど、早くから抗老化を意識することを勧めたい」と話す。

 人の一生における老化の進み方と健康寿命の関係性を示すために樂木教授が作成したのが、図2の4つのモデルだ(図2参照)。横軸は年齢で、縦軸は生存率や自立度、簡単に言うと元気さを示している。

 このうち、樂木教授が「残念な老化パターン」として注意を促すのが、左から2番目の生活習慣病モデル。「働き盛りの世代である50代から生存率が下がり始めるのは、エイジングドミノなどが進行するから」。エイジングドミノは、加齢や喫煙、運動不足、過食などの生活習慣、ホルモン低下、酸化ストレスといった老化要因が重なり、臓器の老化が進み老年疾患を発症するなど、ドミノ倒しのように老化が加速する現象を指す。「健康に不安を抱えているのに何も手だてをしないと生活習慣病モデルのようになる可能性が高い」。

 「健康老人モデル」を越えて「長寿老人モデル」を目指す必要性が増す今後は、より早く、より有効性の高い方法で老化制御に取り組む必要がありそうだ。

図2●年齢と老化の関係モデル
図2●年齢と老化の関係モデル
細胞と臓器の老化は一般的に20代から始まるが、その進み方には個人差がある。健康寿命を延ばす方向へ生活習慣を改善することで、健康老人、長寿老人への道は開ける(樂木教授作成)
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