福祉に興味がない人々の認識を変える

ヘラルボニーはNPO法人や社会福祉法人ではなく、株式会社つまり利益を追求する営利企業として事業を展開しているのが特徴です。

松田 私たちは活動のベクトルを、福祉業界というよりは広く社会に向けています。もう少し言いますと、福祉に興味がない人々の認識を変えることを狙っています。

 知的障害があるからこそ描ける世界がある。そこで、ヘラルボニーは、あえて知的障害という言葉を前面に出しつつ、社会が持っている知的障害へのイメージをアートを通じて変容させていこうと考えているのです。

 アートは知的障害へのイメージを変えるのに非常に有効な手段で、私自身はすごく可能性があると思っています。「福祉」と「アート」という2つの言葉をかけ合わせて表に出している理由はそこにあります。

 ただ、逆説的な話になりますが、アートだけにこだわっているわけではありません。知的障害に対する社会のイメージを変えるというミッションを見据えると、アートが今一番有効な手段であると考え、そのためにアートをビジネスの主軸に据えたというニュアンスです。

あくまでも、アートは社会の変容を狙うためのツールの1つ、という位置づけなのですね。

松田 福祉に興味を持ってくださる方はわずかです。アートに興味を持ってくださる方もどちらかと言えばマイナーなグループです。けれども、服飾品やブランドに興味を持つ人はたくさんいらっしゃいます。そこで、私たちは知的障害がある人によるアート作品をアパレルやラッピングなど日常に馴染む様々な物事に落とし込んでいくという手段に着目し、それをビジネスとして展開することで、福祉のことを知ってもらい、社会に変容をもたらそうということをしています。