相談者と心理士に境界、自立した心の健康目指す

 心理士側にとっても、アバターを使うことのメリットがある。顔や生活空間が映らないため、相談者との境界を保てるという点だ。

 心理相談を受けることは、依存につながる傾向があるが、それは必ずしも良い関係とは言えない。相談者から依存され、個人的な感情を抱かれてしまうことが心理士にとってストレスになることもあるという。アバターを使って心理士の顔をあえて隠すことで、「こうした依存関係を生みにくくする」(高岡氏)狙いがある。依存関係を生まずに、相談者が自立した状態で心の健康を保てるよう促せる可能性がある。

UsideU 代表取締役社長の高岡淳二氏
UsideU 代表取締役社長の高岡淳二氏
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 もっとも、心理相談の全てをアバターで済まそうと考えているわけではない。顔を出さないことが適さない場合もあるからだ。そのため、アバター心理相談を数回行った後、信頼関係が構築できた状態でお互いの合意があれば、「顔を見せた状態で相談を行うことも想定している」と高岡氏は話す。コンタクトのレベルでは信頼関係を築く際にアバターが有効であることは分かっているが、長期的な信頼関係を深める際には顔を見せた方が良いと考えているからだ。

 さらに、相談者だけでなく、家族や会社にも参加してもらう心理相談は、アバターよりも対面での心理相談が適している可能性があるという。あくまでも「心理相談へのコンタクトポイントへの負担を軽くするきっかけとしてアバターを活用したい」と高岡氏は説明する。

(タイトル部のImage:patpitchaya -stock.adobe.com)