私たちは、「健康で幸福な人生100年時代を実現する」という理念を掲げています。ここに大きく立ちはだかるのが、「がん」です。がんの主な原因の一つは老化です。高齢になるほど発症のリスクは高まります。実際、人口の高齢化とも相まってがんの患者数、死亡者数は増加しています。がんが原因で亡くなる方の人数は、この50年で約3倍も増え、2021年は年間37万8500人に達すると予測されています。

日経BP 総合研究所の髙橋(写真:川崎 樹音、剣持 悠大)
日経BP 総合研究所の髙橋(写真:川崎 樹音、剣持 悠大)
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 一方で、診断技術の進歩、がん検診の普及、各治療法の進化により、がん患者の生存率は着実に向上し続けています。がんは「不治の病」ではなくなりつつあります。生存率の向上は、大変喜ばしいことですが、「がんとともに生きる」人が今後さらに増えていくことを意味します。患者や家族の経済的問題、メンタルヘルスの問題、就労や就学の問題など、がん治療中および治療後の生活の立て直しをいかにサポートするかという社会的な課題はますます大きくなるでしょう。

 特に患者やその家族、親しい友人が抱える精神的な不安は、大きな課題であると感じています。また、たとえ身体的な健康が万全ではなくても、精神的な幸せをいかに社会全体で創り出していくかも重要です。これらは「健康で幸福な人生100年時代」の実現に向けて、皆さんと考えていきたい課題です。

 そして、この課題を解決していくためには、医療従事者、企業、学校、行政、民間の団体(支援団体や患者団体)など、社会のあらゆるステークホルダーが、がんという大きな社会課題に向き合い、多様な知恵を結集させて、新しいアイデアやソリューションを生み出していくことが重要です。