商品製造だけでなく、サービスの開発も

保健機能食品は、時代性が反映されるわけですね。トクホや機能性表示食品以外で、佐治さんが注目しているメーカーや健康への取り組みはありますか?

 まず、味の素です。同社は先の「グリナ」をはじめアミノ酸サプリメントの通販ビジネスで成功を収めていますが、新たに食品中の栄養素をスコアにして可視化する「栄養プロファイリングシステム(ANPS)」を開発し、メニュー開発などのツールとして世界展開しようとしています。

 ユニークな取り組みとしては、ニチレイの「conomeal(このみる)」もあり、こちらは“おいしさの定量化”を目指しています。食事をおいしいと感じる判断には味や香りだけでなく、天気やその日の気分といった心理的な要素も大きく関わっているという考えから、個人の好みに心理的要素を合わせてデータ分析し、その時々でその人に合ったメニュー提案などを行うというものです。いずれもシステム開発に目処をつけ、実用化が可能な段階に来ており、具体的な事業展開が模索されています。

 味の素はコロナ禍で在宅での食事が増えたことにより、タイ・ブラジル・ベトナム・インドネシアなどでメニュー調味料の販売量が大きく増えており、このモメンタムをさらに加速するためのソフト面のサポートツールとして活用していくことになるでしょう。

アプリなどのソフトを使い、健康やおいしさ志向の消費者にアプローチしていこうというわけですね。B to Bのビジネスではいかがでしょうか?

 素材供給という面で注目されるのが日本水産です。同社はイワシ油から高純度のEPA(エイコサペンタエン酸)を抽出・精製することに成功し、健康食品を製造して通販を行うほか、製薬会社に医薬品の原料として提供しています。

 持田製薬はこれを使って世界初のEPA製剤となる高脂血症治療薬「エパデール」を日本で創薬しました。その後EPA製剤は米国においてもアマリン社が、重度の高トリグリセリド血症治療薬「Vascepa」として発売し、2019年からは、心疾患のリスクを低下させる医薬品としても使用されるようになりました。2021年には欧州でも発売される予定です。

 昨今はこのように機能成分を医薬品や化粧品の素材として販売することにも目が向けられています。キリンHDの「iMUSEプラズマ乳酸菌」も、世界的な大手飲料メーカーへの素材供給を視野に入れているようです。