投資では事業のマネタイズ動向がポイント

食品や飲料のセクターでは現在進行形で実に様々な健康分野への取り組みが行われているのですね。とはいえ、投資のテーマになるには、しばらく時間がかかりそうです。

 業績を左右する事業に成長するには時間が必要ですが、株価に影響を与えるケースは出てきています。一例がキリンHDです。同社の株価は、コロナの影響に伴う業務用ビールの不振を受けて2020年6月頃から下落傾向でしたが、11月以降反発しています。これには3つの理由があります。

 第1が2020年11月9日に米国のファイザーによるコロナワクチン開発において9割を超える予防効果が確認され、日本や豪州での業務用ビール事業の最悪期越えの見通しが強まったこと。第2が子会社の協和キリンの遺伝性くる病治療薬「クリースビータ」が好調でキリンHDの2021年12月期において、3期ぶりの増益転換に対する期待が高まったこと。そして第3が前述の「iMUSEプラズマ乳酸菌」シリーズの発売です。売り上げ目標はさほど“大きな数字”ではありませんが、これが起爆剤となり様々なビジネス展開がなされるというポテンシャルへの評価と言えます。

 食品・飲料メーカーの健康ビジネスに対する投資判断で鍵を握るのが、「いかにしてマネタイズするか」ということ。この分野でDXと絡めた積極的な取り組みを進めているのが味の素です。同社では、うま味による減塩効果を通じた健康訴求商品を提供することで、主力の調味料・食品事業における世界的な単価上昇に取り組んでいます。また、加齢による認知機能の低下など健康リスクに対し、「アミノインデックス」など既存システムの応用範囲を広げることでリスク分析を行い、将来的に、アミノ酸バランスの改善を中心としたパーソナル栄養の分野を拡充していく考えです。2020年12月には、「食と健康の課題解決企業」の実現に向けた新事業モデル達成を目的に、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の活動も開始されました。

 2021年以降、イノベーションの探索や、持たざる経営を実現するエコシステムの構築・強化を中心とした、協業型のビジネス展開が加速すると見ています。

(タイトル部のImage:jamesteohart -stock.adobe.com)