厚生労働省が行っている医療系ベンチャー・トータルサポート事業「MEDISO」の支援事例を紹介する本連載。第2回目は、がん治療におけるゲノム情報解析サービスを手がけるテンクー(Xcoo)を取り上げる。

 日本人の2人に1人が一生のうちに患うがん。どうしたら自分に合った「がん治療」にめぐり合えるのか。期待が集まるのは、がんゲノム医療だ。

 近年の研究により、がんの引き金は遺伝子変異であることが知られる。細胞は毎日、何らかの変化で遺伝子に傷がつき、それを修復している。ところが、修復がうまくいかずに重要な場所に遺伝子の変異が起きたときに、遺伝子から生まれるたんぱく質も異常が起き、がん化していく。

 2000年代に入って以降は、こうした遺伝子の変異やたんぱく質の異常が起きているがんを対象に効果を発揮する薬(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)が登場。さらにここへ来て多数のがん関連遺伝子を一挙に調べる「がん遺伝子パネル検査」の開発も進む。

 遺伝子が変異した場所に適切な薬を投与すれば、がんを抑えることができる可能性が高まる。とはいえ、基礎研究によってがんに関わる遺伝子変異が続々と明らかになる中、パネル検査で変異がある遺伝子が分かっても、その結果に対し、国内外で治験中のものも含め、どんな薬があって、どのような治療法が適しているかなどを突き止めるのには困難さを伴う。

 テクノロジーの力を活用して、そうした課題を克服する事業を展開しているのがテンクーだ。

 テンクーは東京大学発の医療系スタートアップで、工学系研究科卒の西村邦裕氏が助教から転身して2011年に立ち上げた。

 「大学時代はもともとバーチャルリアリティ(VR)が専門で、視覚的に分かりやすく説明できる『可視化』の技術に興味があった」と西村氏。そこからヒトゲノム解析への関心も高まって研究を進めるうち、複雑で膨大なゲノム情報をうまく整理・解析し、結果を分かりやすく人に伝えて、医療などにおける判断の支援につなげたいとの思いが強まり、起業に至ったのだという。

テンクーの西村邦裕社長(写真:稲垣 純也、以下同)
テンクーの西村邦裕社長(写真:稲垣 純也、以下同)
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