病院の中と外に広がる意識の格差

 でも実際どうなのか。私自身の経験になりますが、昨日まで元気だった50代の働くお父さんが急性心筋梗塞になり、かなり危険な状態で救急車で運ばれてきた。心肺蘇生されて、病院でも人工心肺装置をつけて様々な処置を施したものの、結局、心臓が再び動くことはなかった。それで人工心肺を外して死亡確認をして、「非常に残念です、ご臨終です」とご家族に告げるわけですが、泣いている患者のお母さんや奥さん、子供たちの誰が悪かったのか。

 誰も悪くはないんですよ。そんなまずい状況であることを分かっていなかったのだから。でも医者もそうですし、恐らく周りの人たちも、「ちゃんと治療を受けさせればよかったのに」などと口にしてしまうんですよね。

 そんな実体験から、たとえ痛くもかゆくもない状態であっても受診した方がよい場合があって、そういうことが知られていないのは、結局、医療者と一般の方たちの間でコミュニケーションが十分とれていないからと考えるようになりました。

Vitaly代表取締役の竹田氏。(写真:陶山勉、以下同)

 本来、皆がもっと活発に体や健康、病気のことを広く話し合えるようになる必要がある。そうすれば予防にもつながり、不幸を招かずに済むかもしれない。けれど今は、医学のことが話せていない。だから「話そう!医学」スローガンに掲げて、会社を設立したわけです。

 前置きが長くなりましたが、一番話せていないのは、病院に来る前の患者さんと、院内で待っている医療職です。病院の中と外の隔たり。この意識の格差がすごく大きいなと思います。

なるほど。具体的にどんな業務を行っているのですか。

 主に病院や学会に対して、ウェブを活用した医療コミュニケーション活性化のためのマーケティング支援業務を手掛けています。

 医療者と一般の方の間のコミュニケーションを深めるには、医療者からの的確な情報発信がとても大事です。患者さんはなかなか受診したがらない人が多く、よく見かけるのは、巷にあふれるトンデモ理論に飛びつくなどして、自分は大丈夫などと勝手に思い込んでしまっているケースです。自分なりに病院に行かなくていい理由探しをしているんですよね。

 だから、医療、健康、ヘルスケアに関する知識というのは、現場の医療者が真っ当に伝えて、一般の人に病院に来る前の段階から常に意識し、理解してもらう必要があります。

 また、病院や学会にとって情報発信は、連携施設や求職者を確保する上で貴重な手段でもあります。