地方都市で実証実験、シナリオを作る

HCDLのやろうとしていることは、中国政府がやろうとしていることと、ベクトルが一緒ということですね。だからそこにビジネスチャンスがあると。

 そのとおりです。このようなプラットフォームができれば、政府とも話ができます。私たちのグループにも病院はありますが、それも含めて1つのソリューションになったら政府も喜ぶし、市民も喜ぶし、関連会社もある程度の利益になる。そういうウィンウィンウィンの関係を作ろうとしています。

 そして今は、成功事例を生み出すために動きだしています。実際に動いてみて、成功シナリオを作り出せば、さらに横展開がしやすくなると考えています。

具体的には、どのようなことをやっているのでしょう?

 実際、中国全土でいろいろやり始めています。例えば江蘇省徐州市での淮海医療グループとの取り組みがあります。淮海医療グループには、1つの 3級病院、その下に4つの2級病院、11個の1級病院があって、これが医療集団になっています。この医療集団のデータのプラットフォームを作りました。16病院のデータが全部つながるようになっています。そこでいろいろなことの検証をし始めました。データが単につながっただけでは、ソリューションとは言えないからです。

 ただ、現状は16病院のデータが何か他のソリューションに使われるというところまではいっていません。16病院のカルテなどのデータがプラットフォームに集められ、それを病院の先生が閲覧できるところまではきています。すなわち、3級病院の診断データが、1級病院で閲覧できるようになっています。一般の市民の方が、スマホのアプリを使ってサービスを使えるようになるまでは、もう少し時間がかかりそうです。

今回のプロジェクトは徐州市から支援は出ているのですか。

 出ていません。ただ、今回の事例が成功したら、これをもって徐州市全体に展開しようとしてます。徐州市とすでに話はし始めていて、彼らも非常に注目をしています。

このようなプラットフォームを成立させるためには、健康に関するデータがすべて電子化されていることが前提だと思います。病院の診察データの電子化は進んでいるのでしょうか?

 中国政府がそのあたりは考慮しています。現在、3級病院に対しては、2020年までにすべての電子カルテの活用レベルを再評価することが定められています。このあたりの制度も、我々のプラットフォームの追い風になっているように感じます。

 もちろん、ほかのITシステムベンダーも各病院に電子化の提案をしていて競合になっています。ただ、先ほども言いましたが、我々は同じレベルの提案をしているわけではありません。我々のシステムはプラットフォームとして導入して、初めてスタートとなります。いろいろSaaSのサービスがあとから加わって、どんどん病院も利用者も便利になっていきます。

 現在は、自分のところでデータ化している病院も少なくありません。ただし、今のデータはアイランドになっている、要するにつながってない。これをつなげて、最終的にそれに携わる産業の力を駆使して、ビジネスを上手く回すことが狙いです。

徐州のお客様はフォースングループの傘下にある病院で、そのような病院で実証すれば、いろいろなシナリオが検証できるかと思います。そのほかに、SaaSのサービスとしてはどんなものが考えられますか。

 病院もそうですが、フォースングループでは健康に関わるサービスを手掛ける企業に多く投資しています。例えば、美容ケアのサービスを手掛ける会社、漢方薬品を販売している会社、整形美容を手掛ける会社、子どもの健康サービスを専門に手掛ける会社、歯医者などです。実際には、これらのサービスを手掛ける会社も我々のプラットフォームを使ってもらって、データを有効利用してもらうと共に、データの種類や精度などの要望を挙げてもらい、よりみんなが使いやすいデータ構造を追求していきたいと考えています。

 また、関連企業だけでなく、他の企業との連携も行っています。例えば、スマートホームを手掛けている華為や小米科技(シャオミー)とは密に情報を交換しています。スマートホームを構成する彼らの製品の中にソフトを組み込んで、いわゆるウェラブルで健康状態のデータを取り込んで、病院の診察データと照らし合わせてみる。そこではいろいろな分析ができ、例えば睡眠状態と病気の関連性がわかるかもしれません。