認知症の6~7割を占めるアルツハイマー病は、脳内にアミロイドβ(ベータ)というたんぱく質が蓄積して正常な神経細胞を破壊し、記憶を司る海馬を委縮させてしまう病気と考えられている。世界中で患者が増えているが、いまだに根本的な治療法が見つかっていない。そんな中、米国マサチューセッツ工科大学のリーフエ・ツァイ(Li-Huei Tsai)博士らの研究グループが、脳波の一種のγ(ガンマ)波による刺激を、アルツハイマー病モデルのマウスに与えると〝脳内ゴミ″のアミロイドβが減少することを英科学誌『Nature』や米科学誌『Cell』に発表、注目を集めている。

脳波は周波数によって、β波、γ波に、α(アルファ)波、δ(デルタ)波、θ(シータ)波、を加えた大きく5種類に分けられる。脳波では、リラックスした状態のときに出現するα波が有名だが、研究で使われたγ波は、瞑想など高次の精神活動の際に出やすいとされる。

抗加齢医学の専門家であり、ツァイ博士とも交流がある慶應義塾大学医学部眼科学教室教授の坪田一男氏も、この研究の成果に着目している専門家の1人。視覚と脳波の可能性を探っているという坪田氏に、γ波刺激によるアルツハイマー病改善への応用可能性について聞いた。

(聞き手は西沢 邦浩=日経BP総研客員研究員)

γ波の可能性について語る坪田氏(写真:剣持 悠大、以下同)